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異世界を九十九と一人旅  作者: 書積 詠人
第2章 旅支度
23/302

ホブゴブリンを突破せよ

ゴブリン

・魔物

小鬼とも呼ばれる、矮小な魔物。

繁殖力が高く、巣を潰さないと際限なく出没する。

手先が器用で、様々な武器を使いこなす。




100は斬っただろう。

止まっているヤツは、まっすぐ近付いて斬る。

向かって来るヤツは、カウンター気味に斬る。

それを繰り返している。


(にしても、来訪者(トラベラー)は別次元なんだな。)


既にいくつかのパーティは、体力が限界に近付き戦線を離脱。

気力体力を戻してから復帰する構えだ。

一方の俺は、まだ余裕がある。

と、ゴブリンを掻き分けて二回りほど大きい魔物が出現した。


(リーダー、ホブゴブリンです。この軍勢を率いるものでしょう。この数です。ホブゴブリンもこの一体だけでは、ありませんね。)


つまり、敵軍幹部のお出ましである。

まっすぐホブゴブリンに斬りかかる。

ホブゴブリンは、手にする槍で刀をそらす。


(なるほど、伊達ではないな。)


受け止めない点から、相手の力量を推し測る。

仮にも龍の因子を持つ刀だ。

受け止めたが最後、体ごと真っ二つになっていた。

それを読み取る知性と実行出来る技量。

大軍を率いる幹部に相応しい。


(しかし、好機と勘違いして突っ込んでくるゴブリンがうざったい。)


俺に隙がない以上、不意を突けるはずない。

ホブゴブリンとの戦闘の邪魔にしかならない。


(むしろそれが狙いか?)


などと考えながら、ホブゴブリンと対峙し、ゴブリンを蹴散らす。




俺の攻撃は、ホブゴブリンに当たらない。

魔物とは思えない槍さばきで受け流し、入りそうな時は手近なゴブリンを盾にする。

ホブゴブリンの攻撃も俺に当たらない。

【間合い取り】は、攻防両面に有益な移動術。

同格以下なら、万が一にもかすりもしない。


(だが、ゴブリンが邪魔すぎる。)


飛びかかってくるゴブリン、盾になるゴブリン。

有象無象にも気を配らなければならない現状が、ホブゴブリンとの戦闘を拮抗させていた。

ゴブリンの討伐だけが進んでゆく。


(もう1つ、目があれば……!)


ある。正確には、用意できる。

俺には、その力がある。


「おはよう、斬鬼(ザンキ)。」

「おはようございます、主君。戦場ですね。」

「あぁ。雑魚も積れば…だ。」

「了解しました。」


ザンキが雑魚(ゴブリン)を警戒する。

「左後ろ」、「右上」。

言われたところに(ザンキ)を持っていくだけで、雑魚の対処が出来た。


(これで、実質一対一だ。)


そうなれば、ホブゴブリンなど敵ではない。




ゴブリン軍の殲滅には、夜までかかった。

夕暮れ時に援軍が到着。

戦況が決まった瞬間だった。

軍の大将、ホブゴブリン・エリートを倒したのは、“龍殺し”ギルベルトのパーティだった。

後は残党とばかりに、全戦力を投入。

勝利で幕を閉じた。

その間、俺はさらに3匹ホブゴブリンを倒した事を付け加える。

能力(スキル)一覧


天職(ジョブ):レンジャー 技能(アビリティ):射手D、威圧C(up)、気配遮断A、木工技師D、料理B、罠設置D、平衡感覚B

加護(ギフト)九十九神(つくもがみ) 技能(アビリティ):人格投与S

能力(スキル):間合い取りB(up)、幸運C、武士C(evol)、鑑定B、鍛冶師C、エンチャンターB、精神防御(マインドプロテクト)C、魔具作成A、仕立て師C、調薬B、応急措置C、薬物耐性B、話術D

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