シャッガイ戦争 -破軍の土と水、そして、上級騎士-
「貴様の技は、その武具に魔力を流して発動する。そして、火、氷、風、雷と使ってきた。ならば、残る土、水、光、闇に属する武具もあるのだろう?」
「その通りだ。」
俺はペンダントに手を当て、残りを解放する。
ボウガンの反対、左腕の外側には円盾を。
右腕には肘までの手甲を。
右の腰には、手のひらサイズの棒をぶら下げる。
そして、全身を覆うほどのマントが、風ではためく。
「それが、貴様の全力武装か。」
「そうよ!これぞ俺達“破軍”の真の姿だ!」
「火の。しゃべり過ぎだ。」
大軍を預かり、来訪者の世話を任されるだけあって、女騎士に緩みも固さも無い。
「隙あり!死ね!」
俺の死角から、騎士が一人斬りかかってくる。
その剣はまっすぐ俺へと向かい、ガキンと金属音を立てて、弾かれる。
「なかなか良い太刀筋ね。でも残念。そんなんじゃ、このミノリ様は破れないわ!」
「マントか。」
「するどいわね。その通り。土のマント、ミノリ様が誇る金剛硬化。わたしを突破し、マスターを害したかったら、アダマンタイトとかオリハルコンでも持って来なさい。」
「なるほど。それは手強い。」
あさっての方向から声がする。
女騎士を中心に、声の主を含む明らかに雑魚とはレベルが違う騎士が集まる。
「無様だな。マイト。」
「見くびるな。ただの小手調べだ。」
「見下してかかるの、悪い癖だよ。だから、あの男の説得に失敗して、聖女様付きを下ろされるんだよ。」
数は合わせて五人。
いつかの傲慢な付き人もいる。
「枢機卿直下の親衛隊長か。」
「よく知ってたな。いかにも。」
俺を取り囲み、油断なく動きを見てくる。
「強い奴来たー!俺が相手だ!」
「いやいや、まずは場をかき回して~。」
「シズクだ。」
「「え~。」」
「ごめんなさい。いってきます。」
手に取ったのは、右腰に下がる棒。
それを握り、腰から外すと、棒は水を集め、一本の鞭になる。
「あの、シズクと言います。普段はグリップだけですが、鞭です。すみません。」
「そんな短い鞭で何が出来る。」
「一歩でも動いてみろ。そのブーツを使おうと、貴様に追い付き、殺してやるぞ。」
俺は、鞭を一周振るう。
「届かないに決まって……、」
「忘れたか!あの鞭は水だ!距離など無意味に決まっているだろ!」
慌てて回避する騎士達。
打ち据えたのは、一番侮っていた一人だけだった。
「ぐっ、ただの水じゃないのか。」
「すみません。ただの空気中の水分です。圧縮して密度が上がっているだけです。」
水の固さに怯んだ騎士を鞭で縛る。
「水圧球牢。」
その騎士を飲み込むように、縛る水が膨張。
水の檻を形作る。
「人質なら、効かないぞ。」
「だろうね。いずれ溺れ死ぬだろうけど、シズク。」
「ごめんなさい。さようなら。」
囚われの騎士は水に押し潰され、透明な水が赤く濁る。
「深海何メートルぐらいの水圧だったかな。まあ、良いか。」
解けた牢から、物言わぬ物が転がり出る。
能力一覧
天職:豪商 技能:看破A、 交渉術B、 黄金率B、 量産S(max)、 計算A
加護:九十九神 技能:人格投与S、擬人化S、具象化S
能力:縮地B、幸運S(max)、武士A、射手S(max)、覇気B、隠密C、木工技師B、料理人C、罠設置A、悪路歩方B、鍛冶師A、エンチャンターS(max)、精神防御A、魔具師S(max)、仕立て師A、薬師B、応急措置A、薬物耐性A、千里眼C、漁師D、解体A、教育D




