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異世界を九十九と一人旅  作者: 書積 詠人
第11章 戦争
222/302

シャッガイ戦争 -破軍の土と水、そして、上級騎士-

「貴様の技は、その武具に魔力を流して発動する。そして、火、氷、風、雷と使ってきた。ならば、残る土、水、光、闇に属する武具もあるのだろう?」

「その通りだ。」


俺はペンダントに手を当て、残りを解放する。

ボウガンの反対、左腕の外側には円盾(シールド)を。

右腕には肘までの手甲(ガントレット)を。

右の腰には、手のひらサイズの棒をぶら下げる。

そして、全身を覆うほどのマントが、風ではためく。


「それが、貴様の全力武装か。」

「そうよ!これぞ俺達“破軍”の真の姿だ!」

「火の。しゃべり過ぎだ。」


大軍を預かり、来訪者(トラベラー)の世話を任されるだけあって、女騎士に緩みも固さも無い。


「隙あり!死ね!」


俺の死角から、騎士が一人斬りかかってくる。

その剣はまっすぐ俺へと向かい、ガキンと金属音を立てて、弾かれる。


「なかなか良い太刀筋ね。でも残念。そんなんじゃ、このミノリ様は破れないわ!」

「マントか。」

「するどいわね。その通り。土のマント、ミノリ様が誇る金剛硬化。わたしを突破し、マスターを害したかったら、アダマンタイトとかオリハルコンでも持って来なさい。」

「なるほど。それは手強い。」


あさっての方向から声がする。

女騎士を中心に、声の主を含む明らかに雑魚とはレベルが違う騎士が集まる。


「無様だな。マイト。」

「見くびるな。ただの小手調べだ。」

「見下してかかるの、悪い癖だよ。だから、あの男の説得に失敗して、聖女様付きを下ろされるんだよ。」


数は合わせて五人。

いつかの傲慢な付き人もいる。


「枢機卿直下の親衛隊長か。」

「よく知ってたな。いかにも。」


俺を取り囲み、油断なく動きを見てくる。


「強い奴来たー!俺が相手だ!」

「いやいや、まずは場をかき回して~。」

「シズクだ。」

「「え~。」」

「ごめんなさい。いってきます。」


手に取ったのは、右腰に下がる棒。

それを握り、腰から外すと、棒は水を集め、一本の鞭になる。


「あの、シズクと言います。普段はグリップだけですが、鞭です。すみません。」

「そんな短い鞭で何が出来る。」

「一歩でも動いてみろ。そのブーツを使おうと、貴様に追い付き、殺してやるぞ。」


俺は、鞭を一周振るう。


「届かないに決まって……、」

「忘れたか!あの鞭は水だ!距離など無意味に決まっているだろ!」


慌てて回避する騎士達。

打ち据えたのは、一番侮っていた一人だけだった。


「ぐっ、ただの水じゃないのか。」

「すみません。ただの空気中の水分です。圧縮して密度が上がっているだけです。」


水の固さに怯んだ騎士を鞭で縛る。


「水圧球牢。」


その騎士を飲み込むように、縛る水が膨張。

水の檻を形作る。


「人質なら、効かないぞ。」

「だろうね。いずれ溺れ死ぬだろうけど、シズク。」

「ごめんなさい。さようなら。」


囚われの騎士は水に押し潰され、透明な水が赤く濁る。


「深海何メートルぐらいの水圧だったかな。まあ、良いか。」


解けた牢から、物言わぬ物が転がり出る。

能力(スキル)一覧


天職(ジョブ):豪商 技能(アビリティ):看破A、 交渉術B、 黄金率B、 量産S(max)、 計算A

加護(ギフト)九十九神(つくもがみ) 技能(アビリティ):人格投与S、擬人化S、具象化S

能力(スキル):縮地B、幸運S(max)、武士A、射手S(max)、覇気B、隠密C、木工技師B、料理人C、罠設置A、悪路歩方B、鍛冶師A、エンチャンターS(max)、精神防御(マインドプロテクト)A、魔具師S(max)、仕立て師A、薬師B、応急措置A、薬物耐性A、千里眼C、漁師D、解体A、教育D

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