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異世界を九十九と一人旅  作者: 書積 詠人
第10章 目覚め
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寝ている間

「では、畏れながら、報告をさせて頂きます。」


戻ってきたグリニッジが、昏睡してからの数日を説明する。

寝室では手狭だと考え、場所はリビングに変更。

ここには、屋敷中の九十九神が集合している。

擬人化できる九十九神は、擬人体での参加だ。


「こちらをご覧になりながら、お聞きください。」


渡されたのは、新聞数日分。

一番上になっている記事は、


「俺の記事か。」

「はい。」


俺が原因不明の昏睡状態に陥ったと言う内容だった。


「ジェシー女史は、仕事半分心配半分でいらっしゃいました。」

「ですが、行儀の良い客ばかりではありませんでした。」


ザンキに促され、その翌日の記事を見る。


〈シャッガイは、アイオイの昏睡を神罰による物と断定。アイオイの商品の即時処分を求めた。〉


と、記されていた。


「更に、冒険者や兵を差し向けて、ここを襲って来たのです。」

「ご安心下さい、ご主人様!ゴテンの柱一つ傷付けさせずに追い返しましたから!」


記事にもある。


〈シャッガイがアイオイ邸を強襲するも、反撃を受け敗走。アイオイ邸は厳戒態勢となり、筆者ですら門前払い。〉


以後、俺の話題は紙面からは消えていた。


「その変わり、あいつらが狙われているな。」


ジェシーやショウと言った、付き合いのある来訪者(トラベラー)がシャッガイの手の者に襲われている。


来訪者(トラベラー)をも追い詰めるその勢いから、シャッガイやクリシャナ教に従う人も増えてきたそうッス。」

「この分だと、売買契約もいくつかパアだな。」

「当主様の仰る通り、打ち切りの手紙が届いております。」


「僭越ながら、封を開けさせて頂きました。」と、口の開いた封筒の束を渡して来る。

中身は確かに、商取引の停止を求める手紙だった。


「ヴァーキナはほとんど壊滅か。マシボノとは元々していないが、ロイツでも影響があるとはな。」


これまでの実績に大きく傷を付けられていた。

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