寝ている間
「では、畏れながら、報告をさせて頂きます。」
戻ってきたグリニッジが、昏睡してからの数日を説明する。
寝室では手狭だと考え、場所はリビングに変更。
ここには、屋敷中の九十九神が集合している。
擬人化できる九十九神は、擬人体での参加だ。
「こちらをご覧になりながら、お聞きください。」
渡されたのは、新聞数日分。
一番上になっている記事は、
「俺の記事か。」
「はい。」
俺が原因不明の昏睡状態に陥ったと言う内容だった。
「ジェシー女史は、仕事半分心配半分でいらっしゃいました。」
「ですが、行儀の良い客ばかりではありませんでした。」
ザンキに促され、その翌日の記事を見る。
〈シャッガイは、アイオイの昏睡を神罰による物と断定。アイオイの商品の即時処分を求めた。〉
と、記されていた。
「更に、冒険者や兵を差し向けて、ここを襲って来たのです。」
「ご安心下さい、ご主人様!ゴテンの柱一つ傷付けさせずに追い返しましたから!」
記事にもある。
〈シャッガイがアイオイ邸を強襲するも、反撃を受け敗走。アイオイ邸は厳戒態勢となり、筆者ですら門前払い。〉
以後、俺の話題は紙面からは消えていた。
「その変わり、あいつらが狙われているな。」
ジェシーやショウと言った、付き合いのある来訪者がシャッガイの手の者に襲われている。
「来訪者をも追い詰めるその勢いから、シャッガイやクリシャナ教に従う人も増えてきたそうッス。」
「この分だと、売買契約もいくつかパアだな。」
「当主様の仰る通り、打ち切りの手紙が届いております。」
「僭越ながら、封を開けさせて頂きました。」と、口の開いた封筒の束を渡して来る。
中身は確かに、商取引の停止を求める手紙だった。
「ヴァーキナはほとんど壊滅か。マシボノとは元々していないが、ロイツでも影響があるとはな。」
これまでの実績に大きく傷を付けられていた。




