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異世界を九十九と一人旅  作者: 書積 詠人
第9章 ある少年の記録
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青年期

生徒会において、青年の判断基準は正しいか否かに尽きた。

自他に正しさを求めるやり方で、支持が離れなかったのは、庶務に就いた友人の求心力の賜物だった。




「知ってるか?最近僕らの事、「北風と太陽」と呼ぶそうだぞ。」


公正で平等で、厳しい生徒会長だから敬遠されるのは、当然。

そして、人当たりが良く、変化に気がつく友人は人に好かれる。

高校でも変わらず、輪の中心にいる。

元ネタからしても、勝ち組なのは友人だろうが、適材適所だと納得する青年。




青年の活動も完璧ではない。

続投投票が可決した生徒会二年目、事件が起こる。


いじめを苦にした自殺未遂だ。

青年の目も、友人の交遊関係も届かぬ所で繰り返しいじめを受けていたらしい。

幸い命はとりとめたが、普段が完璧に近かった分、青年に責任が問われた。

そして、普段が普段だけに、フォローする人も少なかった。




加害者が停学し、被害者が転校すると、話題は一気に沈静化した。

そして生徒達は、何事も無かったかのように、青年の活動を受け入れた。


問題が起きれば、トップを問い質し、何事も無ければ、現状を享受する。

それが、青年が見た「人」だった。




任期が満了する三年の八月。

青年の生徒会活動は、誰に誉められる事なく終了。

青年が得たのは、ただ内申点だけだった。




青年はその後、推薦に従って、近隣では最高レベルの大学に進学を決めた。

友人はさすがに学力が届かず、中学からの縁も六年でストップする事になった。

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