幼少期
しばらく、主人公がガイではなくなります。
少年は早熟だった。
だから分かってしまった、親の仲が修復不可能である事が。
それでも少年は努力した。
イイ子にしていれば、気が変わらないまでも少しは改善するのではないかと。
そして何より、喧嘩ばかりの両親の関心を少し……いや、ちょっとでも引きたかった。
まず、大人の言う事に素直に従った。
ワガママを言わず、困らせる事などしなかった。
続いて、知識を付けた。
保育園に置いてある本の内容を全て覚え、気になる事はすぐに質問した。
最後に、家の手伝いをした。
子供の手では出来ない事も多かったが、少しずつやれる事を増やした。
それでも、両親の関心が自分に向く事は無かった。
かえって、喧嘩はエスカレートした。
子供などいないかのように、むしろ相手がどれほど悪いか言い聞かせるように。
小学校に上がった。
イイ子を続けた。
教師に褒められても、テストで点を取っても、充たされなかった。
「子供らしくなくて、気持ち悪い。」
最初で最後、両親が少年に関心を持った瞬間だった。
ここで少年は失敗を悟った。
その後、両親は離婚。
当時、少年は小学三年生。
少年は母親に引き取られ、引っ越す。
名前の半分と住む場所が変わると同時に、少年の中でも変化が行っていた。




