修行の日々と弓作り
それからの生活は、パターンに填まった。
朝起きると、朝食手伝いおよび、朝食。
組合に行き、マスと合流。(ユース同様敬語禁止。)
Aのマスと依頼を受け、昼まで実戦訓練。
「ガッハッハ。すぐに教える事無くなりそうだな。」
【気配遮断】の習得、既存能力の向上。
組合のランクも上げる。
入手した素材を使って、生産修行。
時には、優秀な女医の元で。
「天才のあたしは、確かに魔術外の治療も可能だ。」
【調薬】と【応急措置】、【薬物耐性】を習得。
「毒薬を敢えて飲むなど、本来は許可出来ない事だ。」
(ちなみにこの人。ミイって名前で、ナンさんの元恋敵。現在は年下の喫茶店店長と交際中。お幸せに。)
時には、ナタクの所で。
「スフィアは順調に改良中だよ。あ(以下略」
【木工】、【魔具作成】の向上。
時には、ガドさん，シャシャさんの所で。
鍛冶や服飾で、製品作り。
町長の書庫に入れてもらい、乱読。
(面白い。リーダー、ここ宝の山です。)
(その発想は無かったわ。素直に認めてあげる。)
2冊にとっては、勉強で遊びみたいだ。
ユースの家に戻り、夕食。
風呂を借りて、部屋に。
【精神防御】で何も聞いてないふり。
そして、眠気に任せて就寝。
ここは、ナタクの工房。
事情があって、弓の作成が急務になった。
(弓の欠点は、矢の存在だよな。矛盾してるけど。)
消耗品であり嵩張る矢は、問題として小骨程度の不快感を感じさせる。
(乱戦に向かない武器だよな。)
「…、 ぉ… ガイ ガイ！」
「ん？どうした？」
思考の海に潜っていたため、ナタクの呼び掛けに反応が遅れる。
「無色スフィアだ。属性を固定せずに、自由に変化させられるぞ。」
見せられたのは、小さなガラス玉。
しかし、確かに強い魔力を感じる。
「小さいな。」
「おいおい、小型化は2日前に成功させただろ？」
「最近話聞いてないな。」と呆れるナタクをよそに、脳裏を掠めるものがあった。
(思い立ったら直ぐ行動だったか。よしっ。)
「ナタク。これの“行動”は？」
スフィアとは、透明度の高いガラス玉に、魔力貯蓄ともうひとつ、行動のエンチャントを施したものだ。
光を蓄えた発光スフィア、火を蓄えた着火スフィア、土を蓄えた隆起スフィアなど。
“属性”と“行動”で用途が決まる。
「属性変化<自由>は、行動じゃないっけ？」
「違うだろ。」(【鑑定】してみるか。)
無色スフィア
・魔具
魔力を蓄えておけるガラス玉。
全ての属性に変化出来る。
エンチャント
魔力貯蓄、属性変化<自由>
(蓄えて、変えるだけ。放出する条件が設定されてないな。)
俺は、あるエンチャントを施してみた。
矢の無色スフィア
・魔具
魔力を蓄えておけるガラス玉。
魔力を矢に変えて、出現させる。
全ての属性に変化出来る。
エンチャント
魔力貯蓄、属性変化<自由>、定型放出<矢>
(上手くいった。)
密かな満足感をかみしめる。
いざ作り始めたら、能力アシストでさくさく進んでいった。
魔導の短弓
・武器
複数の属性の矢を放つ。
距離が離れると威力が減衰する。
エンチャント
所有者識別<ガイ・アイオイ>、自己修復、成長、硬化
狙撃の長弓
・武器
遠くの的に命中させるための弓。
一般的な矢を使用。
エンチャント
所有者識別<ガイ・アイオイ>、自己修復、成長、追尾
取り回しと乱射を目的にしなやかな素材で作った短弓。
威力一点に集中して硬い材木を使用した長弓。
現時点で作れる最高のものが出来ただろう。
ピコン♪
【木工】が【木工技師】に進化していた。
(素晴らしいですね。僕の情報の中でも上等です。これより上は、素材からして無理ですね。)
暗に上には上がいると言ってくるリブラ。
そんな事当然承知している。
(それで、どんな“名前”なんです？)
人格投与の話だろう。
だが、武器の命名は刀を含め、しっくりくるものがなかった。
マスと合流して、試射に入る。
(そろそろ一人でも良いか。)と思わなくもないが、万全はきしておきたい。
「弓も使えるのか。だったら、陣形変えるか。」
マスが前、俺が後ろ。
剣士と射手、当たり前の並びだが、
「ガッハッハ。」
笑いながら両手剣を振り回すマス。
その近くには、二度と行きたくない。
その日も大漁で、組合のランクもBに上がった。
装備も揃い、借金も返済済み。
旅立ちの時も、近い。
能力一覧
天職：なし
加護：九十九神 技能：人格投与S
能力：警戒A(up)、回避A(up)、幸運C、刀術B(up)、鑑定B(up)、料理B(up)、鍛冶師C(up)、エンチャンターC、精神防御C、木工技師D(evol)、弓術B(up)、魔具作成A(up)、仕立て師C(up)、気配遮断B(up)、調薬B(new)、応急措置C(new)、薬物耐性B(new,ドクターストップ)
