冒険者デビュー
メイン武器である刀。
道具や獲物を入れるバッグ。
防具代わりの上等なジャケット。
冒険者を始めるには十分な条件が揃った。
「なので、組合に行ってくる。」
俺が冒険者開始を宣言したのは、マジックバッグを手に入れた翌日の朝食時だ。
「おっ!とうとうか。」
「時期に旅に出るのね。」
二人は嬉しくも寂しそうだった。
「まだしばらくは厄介になるつもり。」
習いたい事はまだある。
弓も完成させていない。
何より、
「ナンさんからの借金、返済してないから。」
備忘録用の紙も安くなかったのだ。
……追加お願いしたし。
とにもかくにも、初日以来の組合訪問である。
その時は気付かなかったが、飲み屋エリアと事務エリアと半々に別れた内装をしている。
(窓口は…あっちか。)
窓口の前は、受諾や報告の人で長蛇の列が出来ていた。
無心でしばらく待つと、俺の番がきた。
「ヴァーキナ冒険者組合、リーンリット支部へようこそ。」
依頼の受諾ですか?報告ですか?
と、営業スマイルで紋切り型の台詞を言う受付嬢。
「新規登録です。」
平然と要件を伝える俺。
受付嬢は二枚の紙を取り出し、
「必要事項を明記の上、あちらの係員にお渡し下さい。」
と、マニュアル対応。
了解の意を伝え、紙を受け取り窓口を去る。
記入台らしきテーブルに向かうと、用紙を確認する。
(名前、年齢、性別、あるなら天職もか。)
記入用紙を埋めていく。
根なし草や家出人もなるからか、出身地や住所の登録は不要だった。
もう一枚は、注意事項。
色々小難しく書いてあった。
(まぁ、要するに。命の保証しない。失敗には相応の罰金。15未満は登録出来ない。実力以上の依頼は受けられない。マナー違反は処罰、最悪登録抹消。)
簡単になれる代わりに、簡単に死にかねないし、簡単に辞めさせられる。
(自業自得。好きな言葉だ。)
係員を探して、用紙を持っていく。
暇そうにしていた係員を見つけ、記入用紙を渡す。
「注意事項は、お読みになられましたか?」
俺はもちろん、「はい。」と答える。
係員は「しばらくお待ち下さい。」と一言、奥へと行ってしまう。
(役所仕事。多忙な本窓口と暇な登録係員。)
国家間不和だけでなく、業務態勢にも問題がありそうだった。
(小さな事だけどね。)
「お待たせ致しました。」
戻って来た係員の手には、一枚のカード。
「組合証でございます。必要事項は入力済みです。」
次は、血の登録だそうだ。
初期装備のナイフを取り出し、人差し指の先を軽く切る。
そして、指先をカードに押し当てる。
「これで、登録完了でございます。」
軽くお礼を返す。
続いて、活動上の注意だ。
長々と聞かされたが、要約すると、
組合証は、身分証明書を兼ねる。
ランクが存在し、D-,D,D+,C-,~,S,SS,SSSと上がる。
再発行は可能だが、手数料がかかる。
パーティを組む事が可能。
人員に上限はないが、報酬は例外なく均等割。
パーティランクは、リーダーのランクと同じになる。
ランクアップは、依頼の達成数,狩の獲物の質量,パーティ内での評価を考慮。
一定基準を突破する事でアップを認定。
その他は、注意事項と同じ。
「以上でございます。質問はございますか?」
「いえ、ありません。」
「では、お疲れ様でした。お気を付けて。」
軽くお礼を返し、依頼を求めてクエストボードに向かう。
(冒険者生活の始まりだ。)
勇んでボードに来たものの、登録したばかりのD-ランクに適した仕事は無く。
(狩に出て、魔物を倒すか?)
今度は遅れをとらない自信がある。
逃げきる自信だが。
「おーい、お前。」
ふと、声をかけられた。
「お前、ユースんとこに泊まってる天才少年だろ?ここにいるって事は依頼探しか?」
現れたのは、両手剣を背負った大男だ。
(デカッ。俺の1.5倍くらいか!?)
「はい、そうです。しかし、天才云々はどういう事でしょう?」
【精神防御】で平静を保ちつつ、聞き捨てならない発言に対して質問する。
「若いのに礼儀正しい奴だな。気に入った。お前、この数日職人のところ通っては、技教わってたろ。明らかに上達が早いってんで有名になってんだ。」
男の言葉に周りを見ると、注目と警戒の入り交じった視線を送ってくる。
視線を強くする者、目を逸らす者、ちらちら見てくる者。
反応は、様々だ。
「悪目立ちしていたみたいですね。」
「悪目立ちか。謙遜しおって。」
男は動じない様子で、言葉を続ける。
「名前はガイって言ったか。こっちは、マス・オルバ。ユースとは同期だ。」
「改めて、ガイ・アイオイです。天才って言葉嫌いなので、俺に対して二度と使わないで下さい。」
「おう、よろしく。さっきから見てたが新米冒険者だろ?戦い方を教えてやる。」
ガッハッハと笑うマスさん。
(ユースの知り合いってのは本当だ。強引かつ、お人好し。)
こうして、戦闘の先生と出会った。
能力一覧
天職:なし
加護:九十九神 技能:人格投与S
能力:警戒B、回避C、幸運C、刀術D、鑑定C、料理C、鍛冶師D、エンチャンターC、精神防御C(up)、木工D、弓術D、魔具作成C、仕立て師D




