増える仲間
翌日になった。
いつものように手伝いと朝食をすます。
これから、シャシャさんのところで【服飾】の修練である。
これも、昨日と同じ。
違うのは、……脇に抱えた2冊の本だ。
「あらあら。早いわね。それじゃ、早速初めましょうか。」
シャシャさんの指示の元、ガシガシ【服飾】をしていく。
昨日同様、休む間もなく訓練は続く。
空気を読んでくれたのか、2冊とも黙ってくれていたから集中もしやすかった。
「まあまあ。あっという間ね。」
シャシャさんの言葉に手を止める。
「おめでとう。これから、卒業試験よ。準備するから、待っててね。」
そう言って部屋を出るシャシャさん。
しかし、補正があるとはいえ、【鍛冶】やってた時と比べ早すぎる気がするが…。
(マスターは、【鍛冶】と【エンチャント】を上位に上げているわ。そのため、隠し特性:器用が付くの。)
(だから、もっと勉強しなさい。)と、ラニは締めくくる。
この屋敷で鍛えた技のお陰で学びも早いのか。
(ガドさんは工房かな。挨拶ぐらいしておくか。)
シャシャさんがまだ戻って来なさそうなのを確認して、歩き慣れた廊下を通り、工房へ向かう。
ガドさんは、いつも通り寡黙。
シャシャさんに【服飾】を習ってる事、これから卒業試験である事を話しても、「そうか。」で終わり。
「あらあら。こちらにいらしたのですか。準備出来ましたよ。」
部屋にいなかったから、探しに来たようだ。
「では、また。」
そう言い残し、シャシャさんに付いて工房を後にする。
「主人。楽しそうでしたわね。」
俺には変わらず無愛想に見えたが、永く一緒にいる妻にはそう見えるらしい。
「さぁ。余所事もこれぐらいにしておきましょう。」
手渡されたのは、一組の型紙。
目の前には、多種多様な皮や布。
これらを使って、一着仕立てるのが、卒業試験のようだ。
「全力で行って下さいね。」
後ろから微笑みながら、シャシャさんは言ってくる。
(上着か。とりあえず、やるか。)
型紙から、種類を推察。寸法から、成人男性向け。
(メインは、厚手の生地。裏に通気性の良いものを。)
生地を選び、裁断。
縫い合わせる。
(ほら、そこ甘い!その布は破れやすいから!ボタン付けぐらいしか取り柄ないの?)
ラニがうるさい。
アドバイスは本物だから、【精神防御】を使い、集中を保つ。
(形は出来たな。)
保温性、防水性、対魔力、防刃、自己修復
(エンチャントは、こんなところか。)
丁寧に付加していく。
これで完成。
ピコン♪
【服飾】が【仕立て師】に進化した。
「出来たようですね。はい、合格です。」
あっさりと言うシャシャさん。
製品を渡そうとすると、
「それは、貴方のものです。大事にしてあげて下さいね。」
と、押し返される。
旅人のジャケット
・装備品
旅に適した頑丈なジャケット。
数々の守護がかかっている。
エンチャント
保温性、防水性、対魔力、防刃、自己修復
(なかなか良いじゃない。)
ラニも認める一着になった。
「卒業のお祝いは、何が良いかしら?」
「マジックバッグの素材をお願いします。」
即答した。
こうして、念願のマジックバッグ(の素材)を手に入れた。
マジックバッグ
道具袋やアイテム箱などの形で知られるファンタジーの定番の1つ。
自分の部屋に戻ってすぐ製作してみたが…、
(とんでもないのが出来たな。)
無限のマジックバッグ〈ショルダー型〉
・魔具
容量拡張されたショルダーバッグ。
無数に収納が可能。
体にフィットし、動きを邪魔しない。
エンチャント
所有者識別<ガイ・アイオイ>、容量拡張:極、自己修復、損傷耐性、伸縮自在<ベルト>、内容物保存、入出自在、内容物一覧
もらった素材が優秀過ぎた。
ただのバッグとしても十分なものが出来た。
エンチャントの限界を目指してみた。
……こうなった。
(便利だから良いか。)
あまり考えても仕方がない。
【魔具作成】のランクもアップしたし。
便利ついでに、
「これから、よろしく頼む。キャリー。」
「あいよ。荷運びはあたしに任せときな。」
気っ風の良いおばちゃんぽくなったが、張り切っているようだ。
荷物管理は任せよう。
そろそろ素材集めのためにも、外に出るか。
能力一覧
天職:なし
加護:九十九神 技能:人格投与S
能力:警戒B、回避C、幸運C、刀術D、鑑定C、料理C、鍛冶師D、エンチャンターC、精神防御D、木工D、弓術D、魔具作成C(up)、仕立て師D(evol)




