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異世界を九十九と一人旅  作者: 書積 詠人
第2章 旅支度
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服飾修行とスフィア

「あらあら。皮の加工を習いに?私が先生?いやだわ、こんなお婆さんに。」


などと言う女子高生が目の前に。


(この表現も食傷気味か。)


つまり、いつものシャシャさんだった。


「基本だけでいいんです。お願いします。」


おっとり系老婆(?)には、真摯に頼むのが正しい。

……はず。


「分かったわ。ただし、基本だけじゃなく、みっちり教えますのでそのつもりで。」


要望は無事通った。

しかし、


(この人も職人か。)


似た者夫婦だ。




皮のなめし、綿のつむぎ、etc.

刺繍、ボタン付け、etc.

寸法、裁断、etc.


ガドさんの方針が放任ならば、シャシャさんの方針はスパルタだった。

しかも、「あらあら。まあまあ。」と微笑みを浮かべながら。

来訪者(トラベラー)補正で失敗しないのが幸か不幸か、課題も基準も加速度的に増していく。


「あらあら。もうこんな時間。お夕飯の支度しなくちゃ。今日はここまでね。また明日もいらっしゃい。」


解放されたのは、18時を廻った頃だった。

ピコン♪ピコン♪鳴っていたが、確認する余裕もなかった。


(プレート)


【服飾】がAになっていた。


(補正があったとして、上がりすぎだろ。)


などと思いながらユースの家までの道を行く。






「只今戻りました。」

「戻ったか、ガイ。これすごいぞ!応用の幅が計り知れない。出力の問題や容量限界など解決すべき事柄はある。だが、これは革命だ。魔力を物体に貯めておくと言う発想がなかった。何より適正なき者、魔力乏しき者でも使えるのが最大の利点だ。加えて、魔力が切れても再び補充出来る。これは何と言う?もしかして名前がないのか?だったら付けてくれ!今すぐ!さぁ!」


扉をくぐるとナタクが詰め寄ってきた。

一瞬、家を間違えたかと思ったがそうではない。


「落ち着いてくれ。ナタク。」


精神防御(マインドプロテクト)】は便利だ。

どんな時でも平静を保てる。


「いや、だが、しかし。」

「いい加減、ガイを通してくれないか?玄関でする話じゃないだろ。」


食い下がるナタクをユースの正論(と物理)が止める。




リビングには、ユースとナンさん、俺、そしてナタクがそれぞれ座っている。

テーブルの上には、今日もナンさん手製の料理。

ナタクはユースに連れ込まれてから、すっかり大人しくなった。


(強引さは、ユースが上手っと。)


当のユースはナンさんと楽しそうに食事中。


「あのガラス玉だが、“スフィア”でどうだ?」

「スフィア…スフィアか。」


どうやら気に入ったようだ。

ぶつぶつと改良や応用について、自問自答している。


「仕事の話も良いですが、冷める前に食べて下さい。」


慌ててフォークを取るナタク。

こうして、食事は再開した。

能力(スキル)一覧


天職(ジョブ):なし

加護(ギフト)九十九神(つくもがみ) 技能(アビリティ):なし

能力(スキル):警戒B、回避C、幸運C、刀術D、鑑定B、料理C、鍛冶師D、エンチャンターD、精神防御(マインドプロテクト)D、木工D、弓術D、魔具作成D、服飾A(new)

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