表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界を九十九と一人旅  作者: 書積 詠人
第2章 旅支度
12/302

技師の口と手

「ユースさんとこに居候中のガイ君だっけ?君が来た日は覚えてるよ。いやー、あの時は会えなくてごめんね。そうそう、ガドさんの所に通っていたみたいだけど、【鍛治】でも教えてもらってた?って、その刀を見れば分かるか。たった数日で刀一振りとはすごいね。あっ、もしかして来訪者(トラベラー)?だったら当然か。あぁ、大丈夫。この通り僕はおしゃべりだけど、個人の情報は許可をもらってからしか話さないから。それで、用事はなんだい?自己紹介がまだだったね。僕はナタク。ここの店主で、ハーフエルフだ。よろしく。」


許可を得て、奥へ入った途端これだ。

目の前にいるのは、俺と同じくらいの青年だ。

ハーフエルフという種族から、年上なのは間違いないが。


「弓が作りたくて来ました。商人さんが貴方が一番だと。技を教えてくれませんか?」


簡潔丁寧に事情を伝える。


「技ってほどじゃないな。僕は木工と魔具を中心に、広く浅くやってるからね。ガドさんのような職人じゃないんだ。そうだ、彼って鍛冶精族(レプラコーン)なんだよ。ドワーフとのハーフだけど。で、奥さんはエルフとのハーフ。職人気質なのは、当然って感じだよね。あぁ、もちろん許可はもらってるよ。「別に隠す事でもない。」だって。カッコいいよね。君もカッコいいと思うよ。気付かなかった?ユースさんとこはバカップルだし、ガドさんとこは熟年夫婦。他所は見ないからね。でも、ちょっと店出て道行く女の子に声かけてごらんよ。きっと食いつくと思うな。あっ、ごめん。話がさそれたね。技だろ。別に良いよ。ただし、敬語は止めてくれ。実年齢はともかく、肉体年齢も精神年齢も君と同じくらいなんだからさ。」


うんざりするのを堪えながら、ナタクの話が終わるのを待った。

とりあえず、弓作りに協力してくれる事は分かった。


「では、よろしく。」


それだけ言うと、店を出た。


ピコン♪


習得した能力(スキル)は、【精神防御(マインドプロテクト)】だった。






翌日、俺は再びナタクの元を訪れる。


「やあ!早いね。早速弓作りに挑戦するかい?あぁ、足元が乱雑でごめんね。思い立ったら直ぐ行動(イメージ&トライ)が信条で、発想は形にしないと気がすまないんだ。」


昨日はなかった試作品やらなんやらで、店舗奥の工房は足の踏み場もなかった。

……とりあえず、片付けだな。


整理を終えて、作業スペースを確保すると転がっていた木材と糸を許可を得て、入手。

道具を借り、簡単な作り方を教わって、早速作業。

【木工】スキルDと試作の弓が手に入った。

弓は一回空射ちした後、直ぐ分解した。使い物にならない粗悪品だったからだ。


作り方が分かったのは良いが、今後は使っていい素材がなくなった。

工房にあるのはナタクの物で、部外者の俺にはゴミ同然の物しか使えないからだ。


コロコロコロコロ~


ふと、足元にガラス玉が転がって来た。


「ナタク、これは?」

「ガラス玉?あぁ、思い出した。安かったからまとめ買いしたのは良いが、使い道が何も思い付かなかったんだった。全部仕舞ったはずだったんだけど、まだ出てたのがあったか。」


「まだたくさんあるだよ。」と宝箱いっぱいのガラス玉をみせられる。

ガラス玉は透明度が高く、中に何も入ってないように見える。


(思い立ったら直ぐ行動(イメージ&トライ)…か。)


その透明な輝きに、何か降りてくるものがあった。

思い付きに従い、ガラス玉にエンチャントをかける。


(魔力貯蓄の…光、あと発光)


エンチャントは成功するが、ガラス玉に変化はない。

だが、光属性の魔力を注いでみると……、


(黄色くなった。予想通り。)


さらに、発光を起動させる。


(光った。面白い。)


ピコン♪


習得したのは、【魔具作成】だった。

【木工】と合わせて2つ。なかなかの収穫だった。


(後は、ランクアップだな。)

「すごい!ねぇねぇ、今のどうやったの?【エンチャント】なのは分かるけど、何を付加したんだい?いや、答えはちょっと待って。僕もプロ。解明して……」

「魔力貯蓄で属性魔力を注ぎ、発光で起動。」


長くなりそうだから、さっさと答えを言う。


「うわ、ひどい。答えを言わないでって、言ったのに。まぁ、君にそれを聞く義務はないよね。…あれ?もしかして他の属性もいけるか?光だから発光。ならば、火なら?水なら?」


「こうしゃいられない」とばかりに、ガラス玉1つ1つにエンチャントを施していくナタク。

魔法に限らず能力(スキル)もまた、想像(イメージ)を現実に還元する力があるらしい。


(生産は奥が深いようだ。)


創造が楽しくなってきた。


「そうだ。ナタク。」

「ん?何?」


ナタクはエンチャントの手を止めずに返す。


「バッグは置いてないのか?」

「皮製品だから、服屋。もしくは、冒険者の基本って事で、組合にあるよ。誰かに頼むのなら、シャシャさんが一番だね。」

「シャシャさんって、元師匠(ガドさん)の?」

「そそ。」


集中しているのか、徐々に口数が減っていく。

とにかく、有益な情報を手に入れた。


(まだ日は高い。)


俺は再び、あの家に向かう事にした。

能力(スキル)一覧


天職(ジョブ):なし

加護(ギフト)九十九神(つくもがみ) 技能(アビリティ):なし

能力(スキル):警戒B、回避C、幸運C、刀術D、鑑定C、料理C、鍛冶師D、エンチャンターD、精神防御(マインドプロテクト)D(new)、木工D(new)、弓術D(new)、魔具作成D(new)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ