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異世界を九十九と一人旅  作者: 書積 詠人
第2章 旅支度
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作る楽しさ

鍛治を始めて、数日が経過した。

【鍛治】と【エンチャント】は、共にAランクに【鑑定】は、Cランクにアップした。

【料理】も毎日ナンさんの手伝いをしているが、1ランクアップしてCだ。


「卒業試験を行う。」


いつものように工房に来た俺に師匠は突然言う。

だが、あまり驚きはなかった。

ランクが上がるにつれて、「なんとなくこうやればいい」という感覚がはっきりしてきたからだ。


(とにかく、いつも通り。)


初日に作った専用金槌を手に、鋼を選び、鍛える。

この金槌も最初は無茶な使い方をしたが、自己修復と成長のエンチャントのお陰で、使うほど手に馴染んでくる。

エンチャントは、成長と自己修復、風属性を選ぶ。


(よし!刀身はこれでいい。)


(つば)(つか)(さや)も順番に鍛える。

同様に成長と自己修復を、鍔と鞘には硬化、柄には滑り止めをエンチャント。

そして、すべてを組合わせて一体にする。

最後に、所有者識別のエンチャントを施して。


(出来た。)


風の刀

・武器

風の魔力を織り込んだ日本刀

エンチャント

所有者識別<ガイ・アイオイ>、成長、自己修復、風属性、硬化<鍔、鞘>、滑り止め<柄>


俺の刀がとうとう出来上がった。


ピコン♪


いつもの音に、プレートを呼び出す。


[能力(スキル)がランクアップしました。]

[能力(スキル)【鍛治】がランクSに到達、進化しました。]

[能力(スキル)【エンチャント】がランクSに到達、進化しました。]

能力(スキル):鍛治師D、エンチャンターD


【鍛治】と【エンチャント】が上位の能力(スキル)に進化していた。


「生意気千万。もうお前は弟子ではない。」


造り上げた刀を見て、師匠は(つぶや)いた。


「さっさと出ていけ。次からは、金をとるぞ。」

「お世話になりました。ガドさん。」


俺は背を向け出ていく。

後ろから、


「その刀、銘は何と言う?」


突然の問いかけに振り替える。


「ちゃんと決めとけ。」


そう言うと、また口を閉ざす。

俺は工房を後にした。






出来た刀を手に町を行く。

ユースの家に戻るには、時間が早すぎた。


(紹介してくれた礼を改めてしておくか。)


そう思い、武器商人の店に足を運ぶ。




「いらっしゃい。おっ、あんたか。」


どうやら覚えていてくれたようだ。


「刀……。てことは、造って貰えたのか。」

「いや。教えを受けて、自分で鍛えた。」


俺の返答に言葉を失う店主。


「ガドさんは口数は少ないだが、本物の職人だ。見かけや言動で誤解されやすいタイプなんだろ?」

「確かに、17ぐれーにしか見えねぇからな。しかも、無礼な奴には、口もきかねぇ。そんかし、真面目な奴は大事にする。」


確かに、高校生位の子供に偉そうな態度とられたら、普通はムカっとくるか。

店主が心配していたのは、そこだった。


「しっかし、刀そのものでなく、教えとはびっくりだ。とにかく、刀を手に入れたから。次は弓か?」

「その事で、頼みたい事がある。」




・・・「弓作りの上手い人を紹介してくれ。」


刀を自分の手で造り上げた経験から、弓もまた自分で……という気持ちが強くなっている事を感じていた。

そこで、商人に頼み、弓の作れる人を教えてもらった。

そして、訪れたのが雑貨屋である。


「いらっしゃい。」


最初に訪れた時と同様、声だけである。

能力(スキル)一覧


天職(ジョブ):なし

加護(ギフト)九十九神(つくもがみ) 技能(アビリティ):なし

能力(スキル):警戒B、回避C、幸運C、刀術D、鑑定C(up)、料理C(up)、鍛冶師D(evol)、エンチャンターD(evol)

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