作る楽しさ
鍛治を始めて、数日が経過した。
【鍛治】と【エンチャント】は、共にAランクに【鑑定】は、Cランクにアップした。
【料理】も毎日ナンさんの手伝いをしているが、1ランクアップしてCだ。
「卒業試験を行う。」
いつものように工房に来た俺に師匠は突然言う。
だが、あまり驚きはなかった。
ランクが上がるにつれて、「なんとなくこうやればいい」という感覚がはっきりしてきたからだ。
(とにかく、いつも通り。)
初日に作った専用金槌を手に、鋼を選び、鍛える。
この金槌も最初は無茶な使い方をしたが、自己修復と成長のエンチャントのお陰で、使うほど手に馴染んでくる。
エンチャントは、成長と自己修復、風属性を選ぶ。
(よし!刀身はこれでいい。)
鍔と柄、鞘も順番に鍛える。
同様に成長と自己修復を、鍔と鞘には硬化、柄には滑り止めをエンチャント。
そして、すべてを組合わせて一体にする。
最後に、所有者識別のエンチャントを施して。
(出来た。)
風の刀
・武器
風の魔力を織り込んだ日本刀
エンチャント
所有者識別<ガイ・アイオイ>、成長、自己修復、風属性、硬化<鍔、鞘>、滑り止め<柄>
俺の刀がとうとう出来上がった。
ピコン♪
いつもの音に、プレートを呼び出す。
[能力がランクアップしました。]
[能力【鍛治】がランクSに到達、進化しました。]
[能力【エンチャント】がランクSに到達、進化しました。]
能力:鍛治師D、エンチャンターD
【鍛治】と【エンチャント】が上位の能力に進化していた。
「生意気千万。もうお前は弟子ではない。」
造り上げた刀を見て、師匠は呟いた。
「さっさと出ていけ。次からは、金をとるぞ。」
「お世話になりました。ガドさん。」
俺は背を向け出ていく。
後ろから、
「その刀、銘は何と言う?」
突然の問いかけに振り替える。
「ちゃんと決めとけ。」
そう言うと、また口を閉ざす。
俺は工房を後にした。
出来た刀を手に町を行く。
ユースの家に戻るには、時間が早すぎた。
(紹介してくれた礼を改めてしておくか。)
そう思い、武器商人の店に足を運ぶ。
「いらっしゃい。おっ、あんたか。」
どうやら覚えていてくれたようだ。
「刀……。てことは、造って貰えたのか。」
「いや。教えを受けて、自分で鍛えた。」
俺の返答に言葉を失う店主。
「ガドさんは口数は少ないだが、本物の職人だ。見かけや言動で誤解されやすいタイプなんだろ?」
「確かに、17ぐれーにしか見えねぇからな。しかも、無礼な奴には、口もきかねぇ。そんかし、真面目な奴は大事にする。」
確かに、高校生位の子供に偉そうな態度とられたら、普通はムカっとくるか。
店主が心配していたのは、そこだった。
「しっかし、刀そのものでなく、教えとはびっくりだ。とにかく、刀を手に入れたから。次は弓か?」
「その事で、頼みたい事がある。」
・・・「弓作りの上手い人を紹介してくれ。」
刀を自分の手で造り上げた経験から、弓もまた自分で……という気持ちが強くなっている事を感じていた。
そこで、商人に頼み、弓の作れる人を教えてもらった。
そして、訪れたのが雑貨屋である。
「いらっしゃい。」
最初に訪れた時と同様、声だけである。
能力一覧
天職:なし
加護:九十九神 技能:なし
能力:警戒B、回避C、幸運C、刀術D、鑑定C(up)、料理C(up)、鍛冶師D(evol)、エンチャンターD(evol)




