表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界を九十九と一人旅  作者: 書積 詠人
第2章 旅支度
10/302

家事と鍛冶

翌朝、目覚めると直ぐ起き上がる。

一人暮らしの習性で、二度寝はあまりしない。


(さてと、今日から鍛治修行だな。)


今日の予定を確認。

服は、昨日のままだ。


(替えの服、2組は要るな。)


ファッションに興味はないが、精神衛生上同じ服のままはさすがに嫌だった。




リビングには、誰も居なかった。

恐らく“疲れて”寝ているのだろう。


(待ってても良いが……。)


空腹に促され、台所に立つ。

周囲を探せば、食材は見つかった。

だが、似ている食材(もの)が、同じ食材(もの)だと言う保証はない。


(これは、小麦粉……だよな?)


袋詰めの白い粉を凝視する。


ピコン♪


唐突にプレートが更新を知らせる。

プレートを呼び出すと、


[新しい能力(スキル)を習得しました。]

能力(スキル):鑑定D


と表示されていた。

俺は改めて目の前の粉を【鑑定】する。


小麦粉

・食材

小麦を挽いた粉


名前と説明が、頭に浮かぶ。

同じ要領で、砂糖と果物を【鑑定】する。

小麦粉と砂糖を目分量で水で溶き、果物を細かく切ったら、それも混ぜる。

フライパンで焼けば……、のタイミングでコンロが魔力式である事に気付く。

スイッチにあたる部分には、小さな水晶が取り付けられている。


(魔力を送り込むのか?)


試しに少量流し入れるイメージで、水晶に触る。

すると、小さく着火した。

作業を再開。

流す魔力を調整しながら、火力を合わせる。

フライパンを乗せ、水溶き小麦粉を入れる。


(しばらく焼けば、ホットケーキもどきの完成っと。)


【料理】Dを習得したのは、言うまでもない。






「普通に美味しいのだけれど、雑ね。」


料理には一切の妥協を許さない、料理長(シェフ)のナンさんは批評も辛め。

一人暮らしの「食えれば良い」料理は、認められない。

今後、毎朝の手伝いを約束させられ、ベルマ邸を出発する。




師匠の家に着き、奥さん…シャシャさんに挨拶してから工房に入る。

既に高校生に見えるご老体は、元気に鉄を打っていた。


「おはようございます。」

「やっと来たか。」


挨拶もそこそこに、師匠の作業を見る。

単調に槌を降り下ろしているようにしか見えなかった。


作業に一段落付いたのか、場所を空け、俺を促す。

作業場に座り、手渡された槌を持つ。


「これから、槌を打って貰う。」

「槌を……ですか?」


貸すのは場所と材料、知識だけで、道具は自作させるのが、師匠(ガドさん)の方針なのだそうだ。


(まっ、いっか。)


先達の方針に口を出す趣味も実力もないため、素直に従う。


(ただ従うのも面白くないし、エンチャントも試してみるか。)


俺が使える唯一の魔法を使用する。


(硬化、自己修復、成長。ざっと思い付くのは、これぐらいか。)


イメージを魔力と共に鉄に流し込む。

感覚は、今朝の魔力式コンロ。

そこに、師匠の指示通りに鎚を打つ。




しばらく、打っては冷やし、冷やしてはまた打つを繰り返す。

そして、出来上がったそれを【鑑定】する。


鍛治用金槌

・道具

鍛治のために作られた金槌

エンチャント

硬化、自己修復、成長


完成していた。


ピコン♪


プレートは、【鍛治】と【エンチャント】の習得。

そして、【幸運】のランクアップを告げていた。


「生意気な。」


師匠は、貸した槌を取り上げると、鉄の小山を渡し「自由にやれ。」と言い、研磨作業を始めてしまった。


(あっ。生意気って誉め言葉のつもりなのか。)


そんなことに気付きながら、鏃や槍の穂先、たまには剣を打ち続けた。


一日で【鍛治】が一気にB、【エンチャント】もランクアップした。

能力(スキル)一覧


天職(ジョブ):なし

加護(ギフト)九十九神(つくもがみ) 技能(アビリティ):なし

能力(スキル):警戒B、回避C、幸運C(up)、刀術D、鑑定D(new)、料理D(new)、鍛冶B(new)、エンチャントC(new)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ