表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夕顔美人  作者:
2/4

面接

「はい!夕顔美人です!」

と電話に出た男は声の感じから明るいイメージで若そうな感じだった。


私はその男の次から次へと出してくる質問に一つ一つ答えた。

内容は確か…

「身長は?」とか「体重は?」とか「髪型は?」とか年齢とか容姿に関わる事が多かった気がする。


ただ、その質問のどの部分にも嫌な印象はなく…


その男は

「まだ会ったことないけど、俺分かるんだ!絶対に稼がせてあげる!」と興奮気味だった。


私は翌日電車で1時間かけて店に面接に行った。


その店はカラオケ店の入った雑居ビルの2階にあった。

1階は100円ショップが入っている…


店の前まできてから一つの疑問が頭を駆け抜けていった。

果たして私が今から行こうとしている店の業務内容はなんなのか…

この真っ昼間から高収入な仕事ってなんだ?

子供連れや若者が普通に出入りするこのビルの2階には何があるのだろう…

不安だったけど面接で無理そうなら謝って帰えればいい。

それよりこの先に何があるのか知りたくてたまらなくなっていた。


予定通りビルの前で電話をかける。


昨日の男が元気よく私の名前を呼んだ…

「◯◯さん?来てくれたんだね!今店長が下に行くからソコでまっててね」

ん?そこ?

その男は多分、どこかの窓から電話をかける私を見ていたに違いない。

程なくして一人の男が私の前に現れた。


その男は、電話の男が言っていた「店長」って人だとすぐに分かった。

若作りに見えるが40歳代だろう…

ちょいワルなスーツを着ているが、怖い人っていう印象はない。

オシャレな感じで清潔感漂う気さくな男だった。


「◯◯さん?はじめまして松尾です!」

「ここじゃアレなんでお店へどうぞ」


私は促されたままその男の後ろをついていった。


時間は午前11時。


店の中に入るともう一人若い男の人が立っていた。

割りとイケメン、身長も高くスラっとしていてスーツがよく似あっている。

でも、ツンツンと立てた金髪が昼のイメージをひっくり返していた。


私の事を満面の笑みで見ている。


電話の人だ…


「はじめまして浜武です。」

その男の自己紹介を会釈で交わして店長さんの後を追いかけた…


店内は暗い…

ブラックライトに浮かび上がる壁の星や絵…


廊下に充満するクーラーのカビ臭さが踏みしめめる絨毯の清潔感を奪っていた。


突き当りの部屋に案内されたが、なんとなく異様な雰囲気。

床に敷かれたマットの上に座らされた…

なんか暗すぎる漫画喫茶みたいだなって思うと、店長が小さいサイドテーブルに置かれた電気スタンドの明かりをマックスにひねった。


さっきりよはお互いの顔もよく見える。


店長は気さくに話しかける感じで面接を進めてきた。

「こーゆー仕事は初めて?」


私は訳も分からないのになぜか「はい。」と答えていた。


「男性経験はある?」

そう聞かれて僅かに状況が見えてきた。


「えぇ、まぁ」

ぼんやり答えながら話の流れにのってみた。


「じゃーここでどんな事をするのかは良く分かってないよね?」

うなずく私にすかさず

「そんな大変な事じゃないし、比較的簡単に仕事できると思うよ!なんせこんなに可愛いんだし!」

と続けた…


仕事内容や接客の流れの説明を一通り受けた後、私は意外と普通だった。


フリーや指名できた客の相手をして、本番なしでいかせればいいってだけ。


私は16から17歳の間、携帯代に困って何度か援助交際をしていた事がある。

そのたびに本番をゴム無しで迫られ、仕方なく了承していた。


それに比べたら、なんと安全な!

それに仕事として割り切ればいいんだし!


意外といける気がしていた。


店長は全ての説明が終わった後

「どう?できそうかなぁ?」

「良かったら、早速今日から体験入店してみなぃ?その分はちゃんと日払いで給料出るし!どぅかなぁ?」

「ダメそうな感じだったら辞めていいんだし」

と言って私のOKサインを待っていた。


私はその、いつでも辞められるっていうフレーズに甘えてみた。


「宜しくお願いします。」

店長がニコニコしながら

「こちらこそ!じゃー早速写真を撮ろう!」

とポラロイドカメラをカバンから出した。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ