ブラックさんと本の虫
ヒューは仕事に出かけました。
美人さんが余計美人さんになって。
制服みたいのが素敵過ぎます。似合いすぎます。
体にぴったりとあった上着は黒で、所々に銀と金の繊細な刺繍がある。
長めの上着の脇には長剣が差されていてなんだか実用的だ。
ボトムは足にフィットする形でブーツインだ。
ブーツは使い込んでるがしっかり磨かれている。
刺繍以外黒でまとめられていた。
(かっこいいな。)
***
軽く掃除をして、街に出かけた。図書館があるらしいので少し調べ物がしたい!
やっぱり情報を集めないと!
どうやら字も読めるらしい。
図書館は一言で言うと壮観だった。
どっしりとした重厚な石造りの建物は蔓草が壁面を覆い、
中はひんやりとしている。
入って5階の吹き抜けで、各ジャンル別の書架は、壁の棚ににビッシリあった。
一番上の階の最奥は許可がないと入れないらしい。
この国の事を調べたかったが、魔法という項目にも惹かれた。
この国の職業案内も凄く興味がある。後は料理の本を借りて帰ろう。
10冊まで二週間は借りれるらしい。フルで借りとく事にした。
***
「…お嬢さん。シュリちゃんかな?」
「…え?」
(誰この美人さん2号…!)
金髪というより蜂蜜色に近いみつあみの髪を、顔の横で垂らし胸まで流している。
しかし背が高い。この世界は標準なのか?みんな優に180は超える。
背丈は少しヒューより低いかな?
目は翡翠色、少し垂れ目。温和という言葉が似合いそうだが…
(なんだか胡散臭いな…)
服装は明らかに神父に近い。
白地に金と薄い緑の装飾と刺繍のローブをゆったりと着こなしている。
にこにこと笑っているが目が笑っていない…。
「シュリちゃん?」
「えっと…ハイ。」
「ふ…警戒しないで?マクシミリアンに頼まれてきたんだよ。」
(鼻で笑ったな!えっと…マ、マキ、マク…ああ。)
「ヒューの事ですか?」
「!!」
(な、何…なんでびっくりしてるの…?)
ミドルネームを呼ぶのは身内か恋人か親友か、その事を知るのは
少し先だ。
その男はそれを知らないのに気づいたようだ。
「…失礼。僕はステファノ・テオドロ・グリエルモ、宜しくね。マクシミリアンの友達だよ☆」
「あ~、じゃあステファノさん。私は朱吏・藤原です。何か用でしょうか?」
(ホント胡散臭いな…。)