マスターと腹減らし
「…ヒュー?」
「…そうだ。」
「あれ?バーのマスターじゃないの?ん??」
「…もう帰ってくれ。」
事情は分かったものの、お手洗いから出て来たとか
理解しがたい…。
赤提灯のお金払ってないや…。
ま、いっか。
あ、財布!バッグ!!あぶね!忘れてた!
「あ、私荷物持ってませんでした?」
「ああ、そこの椅子に置いてたが…」
「あった~!!!よかった!携帯!てか仕事!いま何時!!!」
「騒々しい。」
ああああ。圏外。駄目か。時間…止まってる。
嘘~?なんで?
ちょっと、おかしいんだけど…
…まさかまさかまさか!!!!!
駄目駄目!!!そんな簡単に決めつけちゃ!!
でも、コスプレのヒューさん。名前長かったし…。
よく見たらカラコンじゃないし…。
いやいや、ちょっと窓の外見てみよう!
そうだ、それからでも遅くない!!
***
「…。」
あれれ?見たことない鳥が飛んでますけど?
あれ、所による火の鳥じゃなくて??
ちょっとそこの奥さん!どうすんの!!
おかしいでしょー!
どうしてくれんのー!!
あわわわわ…
あの木なんの木きになる木…
知らない木でいっぱいだぁ…
これ完全に噂のトリップだな。
憧れてなんかなかったのに~!!
こっちの世界の人とラブラブして永住しちゃう感じ??
いやいや、そんなうまくいかないよ!!
絶対うまくいかない!!
うまくいかないでくれぇぇぇ!!
違うなコレ。
帰れちゃうパターンだよ、コレ。
「何ぶつぶつ言ってる?」
「あの!」
「なんだ。」
「何言っても信じてくれますか?」
「…何を言ってる?」
「あの、信じてくれないと困るんです…。村人第一発見者なので。」
「もう本当に意味がわからんが、言ってみろ。」
兎に角話を聞いて、お暇して頂こう。
それがいい。
これ以上疲れたくないぞ。
「多分、異世界から来ました。」
「…。」
「あの?」
「帰れ。」
「えっと…帰れないと思います…。」
「…。」
どうしてこうなった。
何故うちなのだ。
もう本当に帰ってくれ…帰れないか…。
人目もはばからず頭を抱え込んだ。
ぐ~…
「はは…おなかすきました。」
「…待ってろ。」
胡乱な目になってるが、何も言わないでくれ…。