とばっちりと不法侵入
「え~、オホン。
とりあえず。酒が飲める健康な体に、カンパ~イ!!」
「なるほど、一理ある。乾杯。」
「暗いんだよ~!もっと明るく行こうぜ~!!」
と、いうわけで飲み会(?)が始まった。
テンションも格好もすべてがチグハグな二人は異様に見えた。
***
「…て訳でさ~、セクハラな上司が嫌で辞めたのよ!!!」
「…セクハラ?」
(さっきから解らない言葉ばかりだな。異国の者か?
それにしてもこの少年…飲んでいい年なのか?異国の法はわからないからな…。)
「セクシャルハラスメント。性的嫌がらせ!わかるぅ??」
「(男好きに狙われそうだな…)…なるほどな。」
(異国もこちらも、そう変わらないな。
少年…意外に苦労してるな。)
もう愚痴談義になった。
マクシミリアンは冷静に分析してるがなんだか残念だ。
パンツスーツだからなのか、少年と勘違いされている。
しかも少年という年ではなく、31才の行き遅れだ。
残念すぎる。
が…
朱吏は全く気にしていない。
さっきから会話があってないが本人たちは気付かない。
「えっと、なんだっけ…マク、マキ、マシ…。え~、ヒューでいい??」
「何回間違えるんだ、もう一刻は過ぎるぞ。…もういい。それで。」
(一刻…2時間?言い方古いなぁ~。
だからフワフワしてるのか…。
あれ?おかしいな…ベッドが見える…。
ね、眠くなってきた…。)
「おい、寝るな。家に帰れ!」
(こいつは何処から来た。バスルームから出てこなかったか??)
「おい、何処から来たんだ!おい!!」
(…完全に寝たな。どうすべきか…。
何故見ず知らずの不法侵入者を泊めなきゃいけない…。
しかし、こんな少年を外に出したら野犬か盗賊の餌食だ…。
こんなに痩せ細って、何を食べてるんだ?)
「へっぷし!」
「…。」
(しょうがない、もう何も考えたくない。…寝よう。)
少年、確か朱吏だったか。
抱き上げたら羽のように軽い。子供だからなのか、体温は高いように思えた。
テーブルから離れ、ベッドサイドまで歩く。
細くなりつつある月がぼんやりと朱吏を照らした。
残念なことに口全開で涎が垂れている。
しわになるだろうと、上着を脱がせベッドに転がした。
「なんで俺が…」
今日はため息ばかりだ…
こうして、朱吏とマクシミリアンは眠りについた。