現実逃避と酔っ払い
ガチャ
ガチャガチャ
ガチャッ!!
バタン!!!!
(な…なんだ?)
バキッ!
「いってぇ!!!」
「…。」
その人は突然現れた。
すべての敷地の建物に結界が張ってあるのにもかかわらず、何故か現れた。
ふらり、ふらり、と部屋を歩き回り物色している。
すげー!とか洒落てんねー!とか、ぶつぶつ言いながら
一つの棚に手を伸ばした。
これこれ!とニヤニヤ気持ち悪い笑みを浮かべ勝手に人様の部屋のテーブルに着いた。
その人が気持ち悪い顔でコップ(あくまで人様の!)にウイスキー(人様のコレクション!)を
注ぎ、ガブガブ飲みだした。(せめて頼むからちゃんと味わってくれ!!)
「こんな洒落た店だったっけ?」
そろそろ人様の家だということをわかって頂きたい!
「お~い!兄ちゃん!でへへ~。」
(き、気持ち悪いな…。)
「一緒に飲もうぜ!!アハハ~!!!無礼講だ~!!!」
(結界超えたくらいだから魔力が強くてすごい人か?いや、おかしい奴だよな?
暗殺者には見えないが…、いや待てよ?酒に毒を入れるかもしれん!
それとも潰れさせてからか?
そもそもあの酔い方は演技なのか?本気っぽいぞ???
それも作戦なのか??でも…しかし…だが……)
***
人様こと、この家の主、マクシミリアン・ヒュー・レオナルドゥスは悩んでいた。
こんな事は初めてなので、普段は冷酷で氷の貴公子の異名をもったマクシミリアンも
口をあんぐり開け、突っ立ったまま思案に暮れていた。
その中、その人こと、藤原朱吏は空気も読めないほど酔っていて
「早く来いよ~。兄ちゃん~。アハハ~。」
と、絡み酒中でした。
マクシミリアンは考えることが面倒になって、短時間でがっつり疲労した。
もう、一緒に飲むことにした。
それほど彼は動揺している。
そして、今日は疲れていたので色々飲んで忘れたくなった。
その人はおかしい人だけど、何故か危険な人には見えなかったのです。
もう、彼は疲れていた。で、片付けた。