コスプレーヤーと記憶喪失
絶賛おっさん街道まっしぐらな私、藤原朱吏、31才…。
今日も赤提灯で一人酒…。
転職が決まったので一人祝い酒をしてた。
チャコールグレーのパンツスーツに白のワイシャツ、ヒール5センチのパンプス。
昨日美容院に行ったばかりで、切ったばかりのショートカットに久々の黒い髪。
(きっちりキメて、でも確かに一人だったはずなんだけど…。
化粧室から出てきてからは、誰かにクダ巻いてた気がする…。
ウ~ン…。ダメだ。思い出せんっ!!そんなに飲んだっけなぁ??
あれ?記憶また無いわ…)
***
「おい」
(おっと、人がいたんだった!)
「はい!先生!!」
さっ!っと素早く手を挙げた。
「…センセイ?なんだ、言ってみろ。」
(ちっ。ノリ悪いな!美人だからってそんなんじゃモテないぞ!!
しかもこの人すっごい眉間のしわ!!
まあ心当たりはあるけれど記憶ないんじゃ!!!
つーかこのガイジンさん日本語めちゃくちゃうまいんですけど!!
コスプレ?すごい格好~!
銀髪銀目とかありえない~!カラコン?カラコンだよね~!!)
「早くしろ。」
(コワ!美人さんなのにもったいない!!
もうなんなの?とりあえず聞きたい事いっぱいあるんだけど。)
「記憶がないです!!!」
「は?」
「私はなんでココに?というかココはどこ?」
「…」
(オイオイ!!さっきより不機嫌な感じじゃないか!!!
ため息すんじゃないよー!幸せ逃げますぜ!旦那!
呆れた顔しても記憶ないもんはない!!
さっさと教えてくんないかな~。)
***
(なんなんだ?これは。
昨日もそうだが暗殺者じゃないよな?
いや、こんな間抜けな暗殺者はいない…。じゃあなんなんだ?
駄目だ。埒が明かない…。聞いてみるか?
…。記憶がないと言ってたな…。
こいつの格好…。この国のものではないな…。仕立ては良さそうだが見たことない。
服装は地味だが生地もいい。
肌は荒れてないし貴族?しかし品がないな…。
一体何者なんだ…。)






