情報
「ダイスケぇー。聞きたいことあんだけど。」
高1E組の教室。
るんがそう呼びかけると、出てきたのはヤンキー風の小柄男子。
「え、まじ?この人なの、情報屋って?大丈夫?」
私はるんの制服の裾をつかんで、後ずさった。
「だいじょうぶ。いいヤツだよ、ダイスケは。見かけはアレだけど…
てか、璃菜怯えすぎだよ!(笑)へーきだよ。」
るんは、笑顔で言うけれど…
ホント、何コイツっ。
超怖いんだけど!!大丈夫かよぉぉぉ!
私が青ざめた顔をしていると、そのダイスケとかいうやつが喋りはじめた。
「あ、森田パイセンじゃないすか。なんすか、できる限りなら答えますケド。」
後輩からそんな言葉づかいされるとまじムカつく!!!
と、るんはそんなことお構いなしに事情を説明した。
「あぁ、清島はですね…。
彼氏が東京でも有名な暴力団の1人で、清島自身も、本当はめちゃくちゃギャルで
強いらしいっす。
理由はわかんねーんすけど、この学校にスパいってるのかな的なー。
まじあの性格が芝居だったら、超ウケるよな、アハハハハっ
まぁ、俺の頭の情報っすけど。」
「「え…。」」
もちろん、私とるんは青ざめた。
スパイ?彼氏?暴力団?
よく分からないけど、私たちは知ってはいけないことを知ってしまった…
「あ、そう。また清島の情報が出次第、教えて。」
「ハイ、りょうかいーす。」
ダイスケさんは、教室の中へ戻って行った。
「ヤバいね、清島…
てか、情報料とか取られないの?」
るんは、顔をうつむかせて、
「普通はとるんだけど、ダイスケあたしのこと好きみたい。
告られてフっちゃったんだけど、いつもと変わらず接してくれるし…
自分の好きな人はタダだ、って。」
と笑った。
「へ…え。」
るんも、こんな恋愛されてるなんて。
なーんか、悔しーい。
あたしも好きな人、つくるしっ。