ダイスケ
「…。ッ…
俺は…璃菜が好きだよ…。」
「ダイスケ。話したい事があるの。」
私とるんは覚悟を決めてダイスケの教室へ向かった。
すると、うつむいたダイスケが出てきた。
「…なに?なんか用?」
元気の無い声で、ボソッと言うと、ゆっくり顔をあげた。
…。
ダイスケの顔を見た瞬間、私は悟った。
私たちが、ダイスケの嘘に気づいたことを知っていると。
そう思うと、なんだかダイスケがかわいそうになった。
けれどるんは、その顔に負けじと怒鳴り始めた。
「なんか用かって!?それは、ダイスケ…いいえ、君の偽名の件だよ!?!?!?
分かんないの!?」
ダイスケが偽名とは知らない周りの人たちはどよめいた。
…が、『先輩の悪ふざけだろ~』と言って済ませた。
でも、そっちの方が都合良い。
私は、ダイスケ…を名乗ったヤツの袖をつかんで、るんと3人で人気のないロビーへと歩いた。
着くと、偽ダイスケがロビーの中を見回して、不安げな表情を浮かべた。
「まず聞くけど、あんたの本名は?」
私が聞きたかったこと。
すると偽ダイスケが、
「樹優。」
と呟いた。
「毬夜さんのお姉ちゃんで間違いないの?」
「…あぁ。
…悪かった…って思ってる…。
この事は、最屋が言ってたんだ。教えてしまった、と言われた。
でも、偽名のこと以外話すことは…隠していたことは何もない。」
「嘘だ!!!清島が言ってたよ!?
清島の彼氏はヤンキーでもない好青年で、危険なのは逆にあんたのことだって!」
これ以上嘘をつこうとする樹優…が、許せなかった。
つい大声で叫ぶと、樹優は、
「俺が教えたのはあくまでも情報だ!事実なんて言っていないだろ!!!!!????」
と叫んだ。
「…ご…ごめ…」
私がそう言っているときにはもう、樹優の姿は無かった。
「んだよアイツ!逆ギレかよ!!!!!!!!!」
傷つくあたしとは反対に、るんは怒りに満ちていた。