だいすきでももういらない【限界効用逓減】
こネコの ニャーゴは、おなかが ペコペコでした。
「おなかが すいたニャ〜! だいすきな おさかな、たべたい!」
そこへ、ネコノヒゲ ちょうろうが、やまもりの おさかなを もって きました。
「ニャーゴや。きょうは ごちそうじゃ。すきなだけ たべて よいぞ」
「やったー! ちょうろう だいすきニャ!」
ちょうろうは、まず 1ぴき めを おさらに おきました。
「さあ、1ぴき めじゃ」
「いただきまーす! パクパク… あ〜! なんて おいしいんだニャ! 100てんまんてんの しあわせだニャ!」
ちょうろうは ニッコリ して、2ひき めを おきました。
「さあ、2ひき めじゃ」
「モグモグ… うん、おいしいニャ!」
「ほう。いまの しあわせは?」
「うーん。50てん くらいだニャ! おいしいけど、さいしょほどじゃないニャ」
ちょうろうは、こんどは 3びき めを おきました。
「さあ、3びき めじゃ」
ニャーゴは、ゆっくり たべはじめました。
「モグ… うん… おなかが いっぱいに なってきたニャ」
「いまの しあわせは?」
「うーん… 10てん くらいだニャ…」
「まだまだ あるぞ! 4ひき めじゃ!」
ちょうろうが 4ひき めを おきました。
ニャーゴは、おなかを さすって いいました。
「う… ちょうろう、もう いらないニャ!」
「だいすきな おさかなだけど、もう パンパンで、みてるだけで くるしいニャ!」
ちょうろうは、わらって おさかなを かたづけました。
「ふふふ。わかったかニャーゴや」
「だいすきな おさかなでも、いちばん さいしょに たべた 1ぴき めが、いちばん うれしくて、おいしかったな?」
「うん! 100てんだったニャ!」
「おなじ おさかなでも、2ひきめ、3びきめと つづけていくと、うれしさや おいしさは、だんだん へっていくんじゃよ」
「ほんとだニャ! さいしょが いちばん しあわせだった!」
ニャーゴは、まんぷくの おなかを なでながら、また ひとつ かしこくなりました。
限界効用逓減




