どっちか ひとつ【機会費用】
こネコの ニャーゴは、ちょうろうの おつかいを がんばりました。
「ニャーゴや、よく やってくれた。ごほうびを あげよう」
「やったー! なに、なに?」
ちょうろうは、2つの ものを だしました。
おいしそうな「おさかな」を 1ぴき。
それから、いい においの「またたび」を 1ぽん。
「さあ、ニャーゴ。おさかなか、またたびか。どっちか ひとつを えらぶんじゃ」
「えー! どっちか ひとつ?」
ニャーゴは、こまって しまいました。
(おさかな、たべたいニャ…)
(でも、またたびも、だいすきだニャ…)
「うーん、うーん… どっちも ほしいニャ! えらべないよー!」
そこへ、ちょうろうが やさしく いいました。
「ニャーゴや。よーく きくんじゃ」
「もし、ニャーゴが『おさかなに する!』と きめたら…」
「うん」
「それは、どうじに『またたびは、もらわない(あきらめる)』と きめた ことに なるんじゃよ」
「えっ!」
ニャーゴは、びっくりしました。
「はんたいに、『またたびが いい!』と きめたら、『おさかなは、もらわない』と きめた ことに なる」
「そっか…。なにかを えらぶって、なにかを あきらめるって ことなんだニャ…」
ニャーゴは、もういちど、おさかなと またたびを じーっと みました。
そして、いっしょうけんめい かんがえました。
(いま、いちばん ほしいのは、どっちだろう…)
「…きめたニャ!」
ニャーゴは、ちょうろうを まっすぐ みて いいました。
「ぼく、やっぱり おなかが すいたから、おさかなに するニャ! またたびは、がまんする!」
ちょうろうは、ニッコリして おさかなを わたしました。
「うむ。じぶんで かんがえて、ちゃんと えらべたな。えらいぞ、ニャーゴ」
ニャーゴは、じぶんで えらんだ おさかなを、とっても おいしそうに たべました。
機会費用




