はんぶんこのほうそく
こネコの ニャーゴは、おやつに おおきな おさかなクッキーを もらいました。 まるくて、とっても おいしそうです。 「わーい! ぼく ひとりで たべちゃうニャ!」
そこへ、ネコノヒゲちょうろうが やってきました。 「おや、ニャーゴ。じつに おいしそうな クッキーじゃのう」 「よかったら、わしと『はんぶんこ』せんかの?」
「えー、しかたないニャ…」 ニャーゴは、だいじな クッキーを りょうてで もって、 「えい! パキッ!」 まんなかで ふたつに わりました。
「はい、ちょうろう。はんぶんこニャ」 ニャーゴは、かたほうを ちょうろうに わたしました。
ニャーゴの クッキーは、はんぶんに なって ちいさく なりました。 ちょうろうは、はんぶんの クッキーを もらいました。
ニャーゴは、じぶんの ちいさくなった クッキーを みて、ちょっと さみしそうです。 「ぼくのぶん、へっちゃったニャ…」
ちょうろうは、ふたつの クッキーを ならべて、やさしく いいました。 「ニャーゴや。よく みてごらん」 「その ふたつの クッキーを、もういちど ピッタリと くっつけて みたら、どうなるかの?」
ニャーゴは、ふたつの クッキーを くっつけてみました。 「あ! ピッタリだニャ!」 「もとの おおきな まるい クッキーに もどったニャ!」
「そうじゃ!」 ちょうろうは うなずきました。 「ニャーゴの ぶんが へったけど、わしの ぶんが ふえた」 「ふたつを あわせたら、おおきさは ぜんぜん かわって おらんじゃろ?」
「ほんとだニャ!」
「これが『はんぶんこの ほうそく』じゃ」 「だれかと なにかを わけるとき、じぶんは へるけれど、あいてが ふえる」 「でも、ぜーんぶ あわせた かずや おおきさは、ぜんぜん かわらないんじゃよ」
「そっかー! ぼくは へったけど、ぜんぶは かわってないんだニャ!」 ニャーゴは、はんぶんこの ほうそくを おぼえて、ニコニコ(にこにこ)しながら クッキーを たべはじめました。
「でも、ちょうろうはふえたけど、ぼくは、はんぶんになっちゃった」「そこがこのほうそくのむずかしいところじゃて」
ゼロサムの法則




