まねっこは、くたくたにゃ!
あるひ、キツネの コンタが、みんなに じまんしていました。
コンタは、おひさまみたいに キラキラ かがやく、とっても きれいな いしを もっています。
「うわー! なにそれ! すごいニャ!」
こネコの ニャーゴと、ともだちの ミケちゃんは、めを まるく しました。
「わたしたちも そんな きれいな いし、ほしいわ!」
コンタは、いばって むねを そらしました。
「フフン。これはな、『すごい きまりごと』を まもった ひとだけが みつけられる いしなのさ!」
「すごい きまりごと?」
「そうだ!」
コンタは、ゆびを たてて いいました。
「ぼくはな、
1. まいにち 7じ ぴったりに おきて おしっこ して!
2. まいにち 8じ ぴったりに あさごはんを たべて!
3. そして、みぎあしから くつを はいて、3かい ジャンプ してから おそとに でるんだ!」
「この ぜんぶを まもったから、この キラキラいしを 『ぐうぜん』ひろえたんだぞ! すごいだろ!」
「へえーー! そんな きまりごとが あるんだニャ!」
「すごいわ! わたしたちも まったく おなじことを やれば みつかるかも!」
ニャーゴと ミケちゃんは、すっかり しんじて しまいました。
◆
つぎのひから、ふたりの たいへんな まいにちが はじまりました。
「うにゃ…まだ ねむいニャ…でも 7じだニャ!」(ニャーゴ)
「あら、もう 8じよ! いそいで ごはん たべなきゃ!」(ミケ)
「えーっと、みぎあしから くつを はいて…ジャンプを 3かい! いち、に、さん!ニャ!」
「わたしも! いち、に、さん! よし、いくわよ!」
ニャーゴも ミケちゃんも、コンタの まねを まいにち まいにち、いっしょうけんめい つづけました。
でも、いくら さがしても、ふたりとも キラキラいしは まったく みつかりません。
「うう…クタクタだニャ…」(ニャーゴ)
「わたしも つかれちゃったわ…」(ミケ)
ふたりは、つかれはてて しまいました。
「コンタと おなじこと してるのに、なんで わたしたちは みつからないのかしら…」
◆
そこへ、ネコノヒゲちょうろうが やってきました。
「おやおや。ふたりとも、なんだか とても つかれはてて おるのう」
「ちょうろう…。わたしたち、コンタの まねっこ してるのに、キラキラいしが みつからないんです…」
ちょうろうは、おはなしを きいて ニッコリ しました。
「ふぉっふぉっふぉ。それは『せいこうの ものまね』じゃな」
「せいこうの ものまね?」
「うむ。コンタが キラキラいしを みつけたのは、ただの『ぐうぜん』じゃ」
「それと、コンタが まいにち やってる『7じの おしっこ』や『8じの ごはん』とは、なんにも かんけいが ないんじゃよ」
「えーー!? かんけい ないニャ!?」
「そうじゃ。コンタは、『ぐうぜん』みつけた あとで、『ぼくが すごい きまりごとを してたからだ!』と、『あとづけ』で いばって いるだけなんじゃ」
「かんけいの ない ことを いっしょうけんめい まねしても、おなじ『ぐうぜん』は おこらん」
「だから、ニャーゴも ミケちゃんも、ただ つかれただけ…『くたびれもうけ』になって しまったんじゃよ」
「そっかー! あの きまりごとには いみは なかったんだニャ!」
「わたしたち、むだな こと してたのね…」
ニャーゴも ミケちゃんも、コンタの まねっこを やめました。
「キラキラいしを みつけるには、まねっこ よりも、いろんな ばしょを たくさん さがす ほうが、ずっと いいんじゃよ」
ちょうろうに おしえられて、ふたりは また ひとつ かしこくなりました。
他人の成功をマネしても、あまり意味が無い。




