おなじおたんじょうび
きょうは、どうぶつほいくえんの はじまりの日。
こネコのニャーゴたちは、そわそわ わくわく!
きょうは、あたらしい おともだちが たくさん はいってきました。 ニャーゴ、ミケちゃん、トラくん、ウサちゃん、クマくん… ぜんぶ あわせて 23ぴきの おともだちが、おへやに あつまりました。
そこへ、えんちょうせんせいの ネコノヒゲちょうろうが、おおきな カレンダーを もってきました。 カレンダーには、ちいさな マスが いーーっぱい あります。 「1がつ1にち」「1がつ2にち」…ぜんぶで 365こもマスが あります。
「みんな、きょうから ともだちじゃな」 「この カレンダーに、みんなの『おたんじょうび シール』を はって いこう。おなじひのこはいるかな」
それを きいた キツネの コンタが、「コンコン!」と わらいました。 「ちょうろう、むだだぞ!」
「なんと?」
「だって、カレンダーの マスは 365こも あるんだぞ!」 「ぼくたちは、たったの 23ぴき!」 「 ぜーったい、みんな 、ばらばらの おたんじょうびだよ!」
ニャーゴも うなずきました。 「たしかにニャ! 365こも あいてるのに、おなじわけないニャ!」 (ニャーゴは、おたんじょうびは 23 しか ないから、ぜったい だいじょうぶだと おもったのです)
ちょうろうは、ふぉっふぉっふぉと わらいました。 「そうかのう? では、みておるがよい」
みんなが じゅんばんに シールを はって いくと… 「わたし、7がつ7にち です!」(ウサちゃん) 「ぼく、7がつ7にち です!」(クマくん)
「「「えーーっ!?」」」 ニャーゴと コンタは、めが まんまるに なりました! 「お、おなじだニャ!」 「365こもマスが あったのに!」
「う、うそだニャ…こんな ぐうぜんが あるなんて…」 「ちょっとかんがえたのと ぜんぜん ちがうニャ!」 ニャーゴが びっくり していると、ちょうろうが いいました。
「ニャーゴや。おぬしは『ぼくと くらべる 22かい』だけだと かんちがい して おったじゃろ?」 「でも、わしが いって いたのは『だれか と だれか』の くみあわせ ぜんぶじゃ。これが 23にん だと、ニャーゴとミケちゃん、ニャーゴとトラくん…こうしてペアをつくっていくと、ぜんぶで、くらべる チャンスは、なんと 253かい も あったんじゃ!」
ちょうろうは、くるくるっと えんぴつを まわして、
みんなの なまえを せんで つなぎはじめました。すると、たしかに253ほんもあります。
「そんなに!?」 ニャーゴは おどろきました。 「でも… 253かいでも、たんじょうびは23こだし、365こも マスが あれば、やっぱり バラバラに なる きがするニャ…うーん」
「ふぉっふぉっふぉ」 ちょうろうは、おおきな ふくろを もってきました。 ふくろの なかには、ぜんぶ ちがう もようの ビーだまが 365こ はいっています。 「ニャーゴや。この ふくろは、カレンダーと おなじじゃ」
「さあ、この なかから一つだけある『あたり』の 赤いビーだまを さがす くじびきを しよう」 「めを つぶって、1かいだけ ひいてごらん。あたる かな?」
「うーん…」ニャーゴは ふくろを のぞきこみます。 「ビーだまだらけだニャ! 365この なかの 1こ だから、1かい ひいただけじゃ、ぜったい あたんないニャ!」
「うむ。おぬしの ちょっかんは ただしい」 ちょうろうは うなずきました。 「では、もし…」 「『1かい だけ』じゃなくて、『253かい』もひけたら どうじゃ?」
「え!? 253かいも ひいて いいニャ!?」 ニャーゴは めを まるく しました。 「365こも あるけど、253かいも さがしたら…」 「それは もう、『あたり』に あたっても、ぜんぜん おかしくないニャ!」
「そうじゃろ!」 ちょうろうは、ポンと ひざを うちました。 「おたんじょうびが おなじなのも おなじことじゃ!」 「おぬしは さいしょ『22かい』しか くじを ひけないと おもって いた」 「でも ほんとうは、『253かい』も くじを ひく チャンスが あったんじゃ!」
「そっかーー!」 ニャーゴは、こんどこそ なっとく しました。 「ぼくの かんかくが まちがってたのは、『チャンスのかいすう』を かんちがい してたからなんだニャ!」
「ちょっかんと、ほんとうが、ちがうことも、よくあるんだよ。かんがえることもたいせつじゃ」ちょうろうはそういいました。
「ふしぎだけど、ほんとうなんだニャ」ニャーゴはそうおもいました。
誕生日のパラドックス。直観との違い。
直観が正しくない体験。




