第一章 第六話
……どこだろ、ここ?
なんかふわふわして、とても居心地がいいな……
「……………ろう…………」
うん?なんか遠くのほうで声が聞こえる……
「……………太郎……………」
…………太郎?……ウルトラ的な?
「ええい!起きるのじゃ、恭太郎!!」
「きゃん!」
何やらおでこの辺りをその声の主にパシッと叩かれたみたいで、うつろいでいた俺の意識は急浮上していった。
……てか何で俺は寝てたんだ?
えーと確か学校に急いで向かって、今日は卒業式で、そんで速見先生と喋って、七海が座り込んでて………っ!?
「七海!!」
俺は今日の出来事を思い出す作業を途中で放り出し、一も二もなく七海の事を探した。しかし、探すまでもなく七海は既に俺の真正面に。いや、正確に言うと俺の事を膝枕をしてくれていて、俺のことを覗き込んでいる状態だった。
……よかった……無事だった……
そう心から安堵していると、七海が今まで一度も見せたこともない顔つきで、
「…………いつまで寝ておるのじゃ、うつけものめ!妾の膝枕が極上なのは分かるが、いつまでも丁稚の様なことを妾にさせるでない!」
……え?……な、七海?……七海さんですよね!?
余りの情報量に頭が混乱し、呆けにとられていると、
「なんじゃ?妾の顔に何かついておるのか?」
「……い、いや……いつも通りホクロ一つないスベスベお肌なんだけどさ……」
「そうじゃろう、そうじゃろう」
「……えーと、なんと言うか、七海…………さんですよね?」
「……まあ、そうとも言うな」
……いやいやいやいや、そうとも言うなってなんやねん!?意味分からなすぎてもう一回気絶しよーかな、俺!!
________そう優記は現実逃避したのであった________