第一章 第一話
考えてることが文章にうまく起こせないです(泣)
……久しぶりに夢を見た気がする。あぁ、あれはまだ俺が幼かった頃におじさんと会話した時のやつだな。
……なんか大事な話しをしてたような気もするけど、よく覚えてないや。ってか夢なんて起きたらほとんど覚えてないのがほとんどだわ。
まぁ中にはバッチリクッキリ覚えてる人もいるらしいけどな。なんかそれはそれで人生生きづらそーだけど……って痛っ!?……痛たたたたぁぁぁ!!!そんなにマッハで肩を揺さぶらないでよ母ちゃん!!!ベッドの縁に高速で頭がヒットしてるんですけどっ!?
「…………優記!……ほら優記!起きなさい!!あんた何度寝したら気がすむのよ!?今日で中学校も卒業なのよ!?最後ぐらいしっかりなさい!」
「わかったから!今すぐ起きますから!!だからそんなに揺さぶらないでよ母ちゃん!!」
「……もう!さっきもそう言って寝直したじゃないの!ホントにあなたって子は!」
「いやなんかとても大切な夢を見てた気がしてさー……もう一回見直そうとして……はい!!嘘です!!ただ眠かっただけです!!だからそんなに睨まないでよ母ちゃん!!」
……嘘ではないけど母ちゃんが本気で怒ってるのでそりゃー、嘘の一つや二ついくらでもつきますよ!だって全然目が笑ってないんだもん!!
「はぁ……七海ちゃんが玄関でずっと待ってるわよ!いいから早く支度をしなさい!!」
「はいっ!!!!」
俺は今日世界で一番いい返事をした。間違いないっ!
……ふぅ、つまらん冗談はさておき、七海まで卒業式の日に遅刻させるわけにはいかないからな!
それから俺は、いつもの二倍の速度で身支度を整えた。
「……あっ……お、おはよう優記くん!」
「おう!おはよ、七海。わりぃ、遅くなっちまってさ」
「……だ、大丈夫だよ?今来たばっかりだし……」
うぅ……同じ嘘でも俺のしょーもない嘘と違ってなんて優しい嘘なんだ……眩しすぎるぜ七海さんよ……
ちなみに七海ってのは、うちのお隣に住んでる幼馴染みだ。
親同士が昔から仲が良いもんだから自然に俺達も一緒に居る機会が多かった。
でも性格はまるで逆で、俺がわんぱく三昧だったのに比べて七海は引っ込み思案の人見知り、おまけに地味な眼鏡っ娘ちゃん!と来たもんだ。
……でもさ、よくよく見ると度がきつい眼鏡の奥のお目めはパッチリ二重だし(ちょっぴりタレ目だけど)、髪も黒髪キューティクルだし(二つで縛ってるお下げがちょっぴりイモっぽいけど)、その上スタイルも良い!(特にお胸がw)……まぁ、そんなんは別にどうでも良いんだけど(……良くないけどねw)、とにかく性格が良くて優しいんだ。
……俺はそんな七海の事が昔からずっと好きだった。……いや、今では大大大好きと言っても過言ではないくらいの現在進行形のハチ切れんばかりの秘めたる想いだ。
実は俺が寝坊したのにはちょっとした訳があって、なかなか夜に寝付けなかったのだ。
何を隠そう今日この卒業式の日に七海に『告白』しようと前々から思っていたのだ!
なんたっていつもこんな俺と一緒に居てくれてたし、俺がわんぱくし過ぎて母ちゃんに叱られてへこんでた時も慰めてくれたりとか、とにかく言葉では言い尽くせないくらいの感謝の気持ちと愛(ってやつだと思う)が七海に対してあるわけなのだよ。
そんな七海をいじらしく玄関で待たせてしまったなんて、なんて俺は罪作りな男なのだ!!……はぁ、締まらないったらありゃしないわ。今日ぐらいはバッチリ最初から決めたかったのにさ……
……ってな事を五秒ぐらい回想していたら七海が、俺の事を見つめながら首を横に傾けて、
「……ん?ど、どーしたの優記くん?……は、早く行かないと卒業式に間に合わなくなっちゃうよ?」
「うあーー!?そうだヤバい!よしっ!行くぞ七海!!……母ちゃんっ、行ってきます!!」
「二人とも気を付けて行ってらっしゃい!七海ちゃん、優記の事頼むわよー!」
……いやいや母ちゃん、そこは頼む人が逆ではないのかい?
「は、はいっ!頼まれました!おばさん、では行ってきます!」
「じゃー母ちゃん、また卒業式の会場でな!……よしっ!行くぞ七海!!」
「う、うん!……っん!?……優記くん!?て、手繋いでるよ……?」
「そりゃー手ぇ引っ張って走らないと二人とも遅刻しちゃうからな!」
「……もう……ゆ、優記くんはいつもそうなんだから……」
俺は何やらうつむきながらもごもご言っている七海を尻目に、強引過ぎないように気を付けながら、七海の左手をやさしく握りしめ学校に向かって走り出した。
…………あぁ、今思うとこの時俺が寝坊したのも、卒業式の日に七海に告白しようとしたのも、この後に起こる出来事が決して逆らえない運命だったのではなかったのかと、ふとこの先の未来で俺は振り返ったのであった。




