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第一章 閑話 其の二
_______時は少し遡り、優記がまだ意識を失っている頃_______
「では、我のこの地にての命は終えましたので、我ら"霊獣"は"彼の地"にて先んじて御姫君の到着を御待ちしております」
「待たなくてよい。妾は今暫く成す事があるでな。各々が先に決められた役目を"彼の地"にて果たしておくがよい」
「ははっ!……あ、いやしかし、それですと他の者達が長く待ち焦がれていた御姫君との御拝謁の機会が幾分と先になりますが……」
「なんじゃ?不服か?」
「……い、いえっ!滅相も御座いません!」
「ふん。まぁのう、妾も"こ奴"のせいで幾分か予定が狂ってしまったからのう。他の者達には会ったときに労うとするわ」
「勿体無き御言葉、皆にも今の御言葉を必ずや御伝え致します。震えて涙する事でしょう」
「うむ。後、妾の"この姿"の事は皆には伏せておれ」
「はっ!」
「うむ。潔し。では行け」
「ははっ!」
(…………くそが、やはりあの小僧が我の姫を誑かすあの憎き若造の転生体だったか…………)