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第一章 第九話

 ……なんだろ?全てこちらの考えている事が見透かされている様な気持ちになる。

 ってか実際そうだしな……普通ならこんな状況だと、怖さが増してくると思うんだけど、下手に相手の姿形(すがたかたち)が七海なもんだから何処か安堵している自分がいるんだよな。……いや、気を緩めるな優記!七海に起きた事態についても答えてもらうまでは絶対に引き下がらないからな!


 そう、先程の言い付けを守りながら悶々と(もだ)えていたら、その俺の態度に気付いたのか"暫定七海"は俺の顔を覗き込み、ニコッと俺のその"好きな表情"で話しの続きを再開しだした。


「よくもまぁコロコロ表情が変わるものじゃ。うぬは黙ってても騒がしい奴じゃのう。……それにしても日が昇ってきて暑くなって来たのう……少し場所を移すぞ」




 ______ひゅんっ______




「……えっ!?」


「なんじゃ?驚いたのか?ただこの"約束の地"の中心にある木陰に転移して来ただけじゃぞ?」


「……いや、確かに校門の内側から学校の真ん中にある桜の木の下に来たのは確かだけど……あ、喋っちゃってごめんなさい」


 俺は黙っとけって言われていたのに、驚きの余りついつい口を開いてしまった。


「……はぁ……うぬは相変わらず……まぁよい。好きなときに好きなだけ申し出よ。だが、まずはその前にここに座れ」


 "ここじゃここじゃ"と言わんばかりにぱんぱんと地面を優しく叩き、そう言われるがまま俺は"暫定七海"に寄り添うようにその大きな桜の木の根元の部分に寄りかかって座った。


 ……偶然にもいつもの七海の左側、俺の定位置だ。


「……ありがとうな。じゃー話しの続きだけど、その止まった時間の中で俺らだけが動ける理由ってなんだ?」


「この後すぐに分かる。意地悪でもなんでもなく"その時"に説明してやるわ」


「うん。わかった。」


 ……今陥っている状況についてはあらかた聞き出せた……と思う。それら全てが納得いったかとなると話しは別だが、それはもういい。みんなは生きてる。それだけでまずは充分だ。


 ……よしっ!心配の荷は降りた。じゃーここからは肝心要(かんじんかなめ)、俺的優先順位圧倒的第一位、今起きている七海の事について聞くぞ!!


「一番聞きたいことを今から聞く!」


「うむ」


「……今までの七海は何処に行っちゃったんだ?……勿論俺の右隣に居る、ってそーゆー類いの話しじゃないからな?」


「わかっておるわ。いつまで先程の事を引きずっておるのじゃ?女々しいのう」


「うっ!……だって、一番大切な事だから……」




「……………………………」




 短い付き合いの"暫定七海"だが、初めて少し沈黙している様子を見たと思う。




「……心配するな。"七海"はちゃんとここにおる。この後にする"()めの儀式"をすればうぬの良く知る"七海"が戻ってくるわ」


 そう、胸に手を置き、少し憂いた表情をした"暫定七海"はゆっくりとそう語った。


「うん。わかった。ありがとう」


「あい、わかった。…………だからその顔はやめよ!」


 ……その顔ってどんな顔だよ!?十五年ずっとこの顔なんですけどっ!?


「まぁ、よい。どうせ新しい疑問が"この先"で湯水の如く湧いて出てくるのは目に見えておる。だから今は時間が惜しい。なのでさっそく始めるぞ、"締めの儀式"をな」


「わかった!……それで何をするんだ?"締めの儀式"って?」




「うぬが妾に…………………妾に接吻するのじゃ!」






 ………………………!?……………ふぁっ!!!?









 ______思春期の男の子って、そんな事を言われただけで頭が真っ白になるんだなぁと、またしても優記は現実を逃避するのであった______




 










やっとここまで話しを持ってこれました……想定の五倍は時間がかかってしまった(泣)

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