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どうしてもあのティラミスが食べたい!



            



 カフェから帰ってきてから、ずぅーっと考えていた。


 あのティラミスが、もう1度食べたい。昨日ルトガーに相談したら、1緒に作るか? と言われた。ルトガーもあのカフェで、ティラミスを食べた事があるそうだ。

 

 ……あの巨体でカフェでお茶をしたのか。料理人としての勇気を讃える。



 しかし、お菓子作りなんて、今世どころか前世でも1回もやった記憶が無い。しかし、何でもこなせるティアラのこの身体であれば、何でもできる気がする。返事はもちろんYESだ。



 

 ーーーー朝、いつもの時間に厨房へ行くと、少し不機嫌そうなレインと、なんとなく嬉しそうなルトガーが居た。2人とも光っていて、ちょっと眩しい。仕事の邪魔してごめんなさい。今日だけだから、許してほしい。まず、下地に使うクッキーの生地を作るそうだ。


「必要な物は準備しといた。あとは全部混ぜるだけだ。1緒に混ぜるぞ。」


 ルトガーが泡立て器を持った。それで混ぜるのか。じゃあ私はボウルを持つ係って事よね? 自然とルトガーとの距離が近づく。するとレインが


「バターが少し大きいんじゃない?これじゃ混ぜるのに時間がかかるだろ。もう少し細かく切ろうか?」


 と言った。ーーーーうーん、確かにちょっと大きいかも? 


「じゃあ私が切るね! 」


 冷えてカチコチのバターは切るのに力が入りそうだ。私はルトガーが用意してくれていたまな板に、素早くバターを置いて、思いっ切り包丁を振り下ろした。


 スカッ


「…………あれ? 」


 さっきまで手にしていた包丁が、無い。


「ねぇ、誰か包丁知らない?」


「……えっ?」


 ーードスッ


 天井から降ってきた包丁が、レインのおでこを掠めた。銀色の前髪が数本、ハラリと落ちる。


「……殺意が無いのが1番怖いな。」


 レインが青ざめた顔をしながら呟いた。


 怪我しなくて良かった。でも、さっきまで持ってた包丁が、何で天井から降ってきたんだろう?もう1度包丁を持とうとしたら、レインが


「俺が切るよ。」


 って、素早くバターを切った。それから2人は、私が入り込む隙がないくらいのスピードでティラミスを完成させた。



 私の人生初のお菓子作りは、これで終了した。後で聞いたら、私が包丁を思いっきり振り上げた時に、手からすっぽ抜けて、天井に突き刺さったらしい。それが包丁の重みで降ってきて、たまたまレインのおでこを掠めたとか。




 ひぇ……無事で良かった。


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