皆川亮二作品に思う ~輝いていたモブたち~
皆川亮二先生の作品について、それほど語ってはいませんf(^_^;
それでも、サンデー掲載時の作品が好きな方ならわかってもらえるかとf(^_^;
私が少年だった頃、皆川亮二先生は週刊少年サンデーにて作品を掲載されていた。
その当時の作品が私は大好きだ。
勿論、その後の皆川先生の作品が嫌いと言うことではなく、連載誌を移ってからの先生の作品を申し訳ないことに未読なだけである。
サンデー掲載時の作品は押並べて同様の特徴がある、アームズ、スプリガン、D-LIVE、いずれも主人公は超常の力や特異な能力を持つ高校生で、主人公には絶対的な力を持つ師匠や親がおり、魅力的な仲間とライバルがいる。
それ以上にこれらの作品に出てくる脇役や群衆の大人たちが魅力的だった。
私の好きなエピソードにD-LIVEの主人公が駅そば屋でそばを食べるシーンがある。
主人公は望外に入った交通費という名目の大金(主人公にとって)で駅そば屋でかねてからの夢、トッピング全部載せそばを頼み、ゴージャスそばだとはしゃぐ。
それを店主の親父が微笑ましそうに見ていると、緊急召集で現れたスタッフに主人公はそばを一口も食べずに駆り出されてしまう。
事件解決後、そば屋の人に悪いことをしたと改めてそば屋に訪れる主人公、すると主人公命名のゴージャスそばが出てくる。
「おっちゃん…俺、今回はゴージャスそば頼んでないけど」
そう言って困惑する主人公に
「遠慮すんな、兄ちゃん」
「凄く楽しみにしてたんだろ、そいつをよ」
「さっきまで頑張って働いてたんだろ? 若いうちの苦労を手助けするのもおっちゃんの仕事さ」
そう言って、笑顔を見せてくれる。
もう、ただのモブのこのおっちゃんがすごいかっこいい。皆川作品にはこんな大人がいっぱい出てくる。
子供の主人公に問題解決を託さなければいけない不甲斐なさに嘆きながら、何とか力になろうと懸命にもがいたり、主人公の危機に自分は大人だからと体をはって助けに入ったり、懸命に声を張り上げ、吠える。
もう、かっこいい、主人公やその仲間、ライバルもかっこいいけど、彼らを支えていたり、その周りで見守っている大人が本当にかっこよく描かれていて、主人公になれなくても、自分なんか凡人だよと笑い、涙しながら、それでも主人公の力になれる、かっこいい大人になりたいと思ったものでした。
来年、不惑を迎える年になって、改めて、そんな大人になれてるかな~と考えると、なれてないな~と、少し涙が出ます。
現実の大人は、少年時代に皆川作品で憧れたようにかっこいいものでは無くて、もっと汚くて、ずるくて、情けなくて、でも皆川作品のように一生懸命でした。
今、若い世代が、夢が無いとか、気力が無いとか言われているけれど、彼等は私達の写し鏡です。
魅力的で輝いている背中を追いかける事が出来ないからこそ、彼らには現実が暗く写るのでしょう。大人として不甲斐ないばかりです。
私よりはるかに年下ですが、努力を重ねて驕らず、ヒカキンが快挙を為し遂げましたね。
子供たちの憧れがYouTuberになってしまうのに、一抹の淋しさを覚えるのは、私がおっさんだからでしょうか。
自信をもって「惑う事などない」なんて言えない私ですが、フラフラしながらも、それでも未来の主人公たちの一助になれればと思う最近です。
お読み頂きありがとうございますm(_ _)m