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魔界の侵略者  作者: 玻璃跡 紗真
第一章『罪人の裁き』
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第11話 災厄の夢

 小さいながらも栄えていた国は見るも無残むざんな有様になっていた。


「お願い、誰か返事をして」


 少女は辺りに積み重なっている死体をできる限り直視しないように、それでも生存者をさがすべく声を張り上げ歩みを進める。


 どうしてこんなことになっているのか。心辺りは一つしかなく。


「災厄……」


 十二年前に突如発生した生ける大災害。


 だが、この国には隣接する大国と対等に渡り合える大魔法がある。それを使えば災厄といえど撃退できたはず。


 不可解に思っていた少女は視界に入ってきた光景に絶句し足を止めてしまう。


「うそ……」


 普段であれば視界に入るはずの白亜の城塞じょうさいが見えなかった。


 現実が受け入れられず、少女は足を速める。


 この国が誇る城塞が崩されるはずがない。そう自分に言い聞かせるも、目に入った現実に打ちひしがれる。


 かつて誰の侵攻も許すことのなかった白亜の城塞が。


 永久不変といわれた国の誇りが。


 国の終わりを告げるように崩壊していた。


 城塞は避難所としての役割も果たしていたが、あの状況での生存は絶望的。


「あぁ……」


 少女は膝から崩れ落ち、目の前の現実に自分の無力さと愚かさを突き付けられる。


 もう生存者を捜す余力もなく、遺体を見る勇気もなく、少女は絶望し、自身の責務から逃げるようにその国をあとにした。




 翌朝、エリナは目を覚ました。


 欠伸あくびをし、目を擦ろうとして触れると濡れていることに気が付く。


 嫌な夢をみたな。と思いながら頬を伝っていた涙を拭き、伸びをする。


 窓を見ると既に陽が昇り始めており、とても長い間眠っていたという事に驚く。


 宿に着いてからの記憶がないことから、恐らく連日の疲労が溜まり倒れるように眠ってしまったのだろう。


「よしっ」


 寝起きでぼんやりとしている頭と鈍っている身体を動かすべく、気分転換を兼ねて散歩をしようと思い準備を始める。


 そうして一通り準備が終わったエリナは部屋を出た。




 朝になり目が覚める。


 昨日の夜の出来事のせいか、寝覚めは悪い。


 バルバトスとは今日別れることになるだろうし、気持ちを切り替えなければ。


 ベッドから降り、伸びをして身体をほぐす。


 横のバルバトスは相変わらず寝ている。昨日、あれだけ飲んでいたのだから仕方ない。


 起こすのも悪いと思い、部屋から出ることにする。


 宿の階段を下り、外へ出る。


 部屋にいたので気が付かなかったが太陽は意外と昇っていた。


「折角だし、村をもう少し見ておくか」


 村を気分転換も兼ねて散策していると、昨日酒場でバルバトスと飲んでいた巨漢きょかんに出くわした。


「よう坊主。バルバトスはどうした」


 朝から元気に元気に声を張り上げ聞いてくる。


「バルバトスならまだ宿で寝てるよ」


「そうか。昨日のあいつの飲みっぷりはよかった!」


 ガハハハッと大きな声で笑いながら聞いてくる。


「そういえば昨日。食人事件について聞いていたが、追ってるのか?」


「あぁ。バルバトスがな」


 先ほどまでの巨漢の大きな笑いは消え真剣な顔つきに変わる。


「そうか。これまで何人もやられている。気をつけろよ」


「バルバトスに伝えておくよ」


 そう言い残し、その場を後にしようとするルドの背中に明るい声で投げかけられる。


「今度は坊主も一緒に飲もうぜ」


 まだお酒は飲めないのだが。


「あぁ。また今度」


 屈託くったくのない笑顔に毒気を抜かれ、前向きな返事をする。


 巨漢と別れ散策を再開する。


 散策している途中で酒場の人たちと出会ったりしたが、どの人も優しく気前がよかった。


 昨日は酒場の空気に圧倒されたが意外といい人達なのかもしれない。


 そんなことを思いながら歩いていくとエリナを発見した。


「おはよう。エリナ」


「あっ、おはようございます」


 こちらに気づいたエリナと挨拶を交わす。


「何してるんだ? 朝から一人で」


「散歩で気分転換してました。そういうルドは何してるんですか?」


奇遇きぐうだな。俺も気分転換を兼ねて散歩だ」


 そうですか。と呟くとエリナは疑問を口にする。


「バルバトスさんは?」


「昨日、飲みすぎていたからまだ寝てる」


「そうですか」


 酒場の話を聞いて少し残念そうにしていたが、エリナは来なくて正解だったと思う。


 そんな他愛たあいもない話をしていると宿の方向からバルバトスがやってきた。


「二人とも起きていたのか。おはよう」


「あぁ。おはよう」


「おはようございます」


 ばらばらに起床した三人が集まり、今日のことについて話し始めるが三人ともお腹が空いたという事で先に食事を済ませることになった。

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