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魔界の侵略者  作者: 玻璃跡 紗真
第一章『罪人の裁き』
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第9話 酒場の喧騒 前編

 村に着き気分が高揚こうようする。


「着きましたね!」


「着いたな」


「早くベッドでくつろぎたいです」


「魔獣の素材を換金かんきんしてくるから、ここら辺で少し待っててくれ」


 二人を付き合わせるのも悪いと思い、急かすエリナにそう告げルドは一人で商人を探しに行く。


 そうして商人を見つけ、換金して戻ると二人の姿はなかった。


 何処に行ったのか。


 二人を探していると、すぐにバルバトスを見つける。


 場違いに感じるその出で立ちはやはり目立っていた。


 バルバトスが難しい顔で掲示板を見ていることに気づき、近づいてのぞいてみる。するとそこにはバルバトスの話していた男についてこう書かれていた。


『先日、王都を繋ぐ街道で男に襲撃されている集団を目撃したという情報が上がり、調査に向かうと五人目となる死体が残されていた。残りの被害者は見つからず、行方不明者はついに十人を超えた』


 目を通すと思っていたよりも凶悪な事件だと突き付けられる。


 だが、ここまでの情報があれば見つかるのも時間の問題だろう。


「早くたないとな……」


 バルバトスはそう呟くとようやくルドに気が付く。


「換金は終わった?」


「あぁ。もう見つかりそうだな」


 掲示板に視線を移し答える。


「あと少し情報が欲しいけどね」


 これ以上の情報となると地道に聞き込みぐらいになるだろう。


「エリナは先に宿に行ってるから僕たちも行こうか」


 そう言うとバルバトスは歩き始める。


「なんで先に行ってるんだよ」


 自由人が過ぎると思いながらバルバトスに付いていく。




 二人は宿屋に到着し、受付でエリナとは違う部屋を借りた。


「エリナはお金どうしたんだ?」


 部屋の鍵を貰い、階段を上りながら疑問を口にする。


 一文無しは自分だけだったのだろうか。


「僕がお金を渡したんだ」


「えっ?」


 エリナにお金を渡す理由はないはずだ。


 不思議に思っているルドを見てバルバトスは説明をする。


「疲れているように見えたからね。先に休んだ方がいいと言って行かせたんだ」


 バルバトスの気遣きづかいに驚かされる。まったく気が付かなかった。


 エリナが先に宿に行ったことにも納得しながら部屋のドアを開ける。


 部屋に入るとベッドがあるという事に感動してベッドにダイブする。


 ふかふかなベッドを堪能たんのうしてからバルバトスにこれからのことを尋ねてみた。


「これからどうするんだ?」


「もう少し情報が欲しいからね」


「やっぱり聞き込みか?」


「そうだね」


 バルバトスも同じ考えだったらしく肯定こうていする。


 村は小さいが一人で聞きこむとしてもそれなりに時間は掛かってしまう。


 魔獣から助けて貰った恩もあり返すなら今だろうという結論に至る。


「聞き込みなら手伝うよ」


 その言葉を聞きバルバトスは目を丸くする。


「いいのかい?」


「魔族討伐には関わらないけどな」


「助かるよ。ありがとう」


 そう言うとバルバトスは頭を下げる。


「魔獣から助けて貰った恩返しだから気にしないでくれ」


 頭を下げる姿に驚き、急いで顔を上げるよう話す。


 聞き込みだけであればそれほど時間は掛からないだろうし。


「遠慮なく言ってくれ」


 そうして二人で今後の方針を固めていると、ルドのお腹が突然鳴り響いた。


「お腹空いたな」


 気づくと窓から見える景色は夕陽に染まっていた。


「ご飯、食べに行こうか」


 バルバトスと酒場に行く途中、エリナがいないことに気が付き急いで呼びに戻る。


「エリナご飯食べに行くぞ」


 ドアを叩き、呼びかけているのだが反応がない。


 鍵が掛かっているし、店主に話せば合鍵を貰うことはできるだろうが無理に入るのはよろしくない。


 以前、ヒュー爺が言っていたことが脳裏を過る。「怒られたくなければ鍵の掛かった部屋はあけるな」と至極しごく当たり前のことを語っていた。昔、鍵の掛かった部屋が気になって開けたら貴族の逆鱗に触れ社会的に死にかけた経験があるらしい。


 どうするか少し迷ったがヒュー爺の教訓にならい開けないことにした。


 どうして起こしてくれなかったのかと怒られたら、それはもう知らない。


 それからもう少しだけ待ってみるが出てくることはなく、ルドは一人で酒場に向かう。


 当たりはすっかり暗くなり、バルバトスが先に向かった酒場からは光と喧騒けんそうが漏れ出していた。


 結構待たせてしまって悪いことしたな思い、酒場のドアを開けると目に入ったのは上半身裸になって酒を浴びているバルバトスの姿だった。


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