第五十一話 行事予定
中間試験が終わり6月へ突入する。
白雲高校は行事が活発であり、この6月には音楽祭の開催が予定されている。
他の行事予定は7月に球技大会、夏休みを挟み9月にスポーツ大会、11月に文化祭が予定されている。
この6月に行われる音楽祭はジャンルは関係なく、また全生徒が強制参加という訳ではない。有志ある生徒がバンドなり演奏団体を結成して優勝を争うのである。ちなみに吹奏楽部の生徒は参加はできるが、部の団体としては参加できない。吹奏楽部に所属していない生徒と一緒に参加することはでき、一つの参加チームにつき吹奏楽部員は2人まで参加できる。
毎年、一年生で参加する生徒は少ない。入学してまだ二か月ほどしか経過しておらず、クラス内にしか知り合いがいない生徒がほとんどで人脈がそこまで広く形成されてないからである。
九条先生が朝のホームルームで音楽祭の詳細について報告する。
「今月末に音楽祭が開催される。毎年一年で参加する生徒はほぼいないが、別に参加してはいけない訳ではない。模試参加したい奴がいるなら、三人以上のグループを作って、今週末までに生徒会へ参加申請を行え。ちなみに音楽祭が終わればすぐにテスト範囲発表になり、期末テストが始まる。練習のし過ぎで勉強が疎かになると痛い目に合うからな」
一通り連絡事項を伝え終わると先生は授業の準備のため教室から出て行った。
「涼介君は参加したいと思ってるの?」
横から瑠美が聞いてくる。
「俺は演奏とかは苦手でな。鑑賞に専念するよ。」
「俺も演奏とかはできないけどよぉ、実行委員になろうか迷ってんだ」
今度は後ろから和也が話しかけてきた。和也は一枚のチラシを二人に見せる。
『白雲 Music Festival !
来たる音楽祭の準備のために音楽祭実行委員を募集!
プログラム作成や当日の設備建設のために体育会系の人も募集します!
興味のある方は実行委員長3-2 緒方まで!』
「せっかくだから何か力になりたいと思ってよ。涼介もやってみないか?」
「俺は遠慮しておくよ。足を引っ張てしまいそうだから」
「そっか。お前は?」
「アタシは今回出る側なんだ~」
「えっ!?」
声に出して驚いたのは無論和也であった。涼介も少しは驚きはしたが顔には出なかった。
「バスケ部の先輩から音楽祭の事聞いてさー。それを聞いた優香が参加しようってこのクラスの女の子たちに声を掛けてね?私も出ることにしたんだー。ちなみにヒカリも出るよ」
赤坂が中心となり、1年6組の女子数名がチームとなって参加するらしい。
「へぇー。となると、いつものメンツで参加しないのって涼介だけか?」
「そうだな。当日、瑠美たちの出番が来たらしっかり見ておくよ。和也も準備頑張れ。」
涼介は留守番役のような形になってしまった。
昼休みはいつも通り瑠美たちと昼食を共にした。放課後は部活があるため和也は昼休みのうちに実行委員長の元へ行って実行委員の申請をしてくると言い、承諾を得た。
放課後になり、和也に部室へ行こうと涼介が誘う。
「みんな部活に行ったし、俺たちも行くか」
「すまん、涼介!実行委員の会議がこれからあってよぉ。今日は部活休むわ!」
「わかった。頑張れよ」
「おう!」
和也が今日は部活に参加できないと分かったため、涼介は一人で部室へ向かう。
部室へ入ると珍しく誰もいなかった。神野先輩が座るいつもの席の机に紙が置いてあった。
『矢野君・山本君へ
今回の音楽祭、高校最後の思い出を作ろうとお友達に誘われたため参加することにしました。発表に向けて放課後は練習することになったのでしばらく部活動には参加できそうにないです。ごめんなさい。音楽祭が終わるまで、部活の活動日であっても休んでそのまま下校していただいても構いません。よろしくお願いします。 神野麻衣』
(神野先輩まで参加するとはな……)
神野先輩の置手紙に部活は休んで下校しても構わないと書いてあったため、涼介が帰ろうとすると部室の扉がガラッと開く。
「なんだ、お前一人だけか?」
「はい。」
現れたのは九条先生だった。
「せっかく久々に遊んでやろうと思ったのにな。二人は?」
「先輩は音楽祭の練習で、和也は実行委員の会議でに出ています。」
「へぇー。お前は出ないのか?」
「はい。特に誘われたわけではないですし、参加することに興味はありませんから。」
「ふーん……」
涼介のさばさばとした言葉に先生は呆気にとられる。
「俺一人で部活するのも虚しいので、今日は帰ります。」
涼介は先生に一礼して部室を出る。
先生の横を通り過ぎた瞬間「待て」と声を掛けられる。
「何でしょう?」
「なぁ、ひと暴れしてみないか……?」
九条先生は何かを企て、悪戯な笑みを浮かべている。面倒事が起こりそうな気がして涼介は「はぁ」と一息つく。




