第五話 昼休みー前編ー
新しいキャラクターが出てきます。
よろしくお願いします。
入学式から翌日。
8時30分までが登校時間であるため、生徒は遅刻しないよう学校へ向かう。涼介は電車通学で、学校の最寄り駅に着いた時間は8時10分過ぎ、駅から学校まで徒歩十分かからない程で着く。瑠美も涼介と同じ電車通学であるため、駅から学校へ歩く途中、後ろから「おはよう」と涼介に合流し、適当な会話をしながら二人は教室へ向かう。
二人が教室に着いたのは8時20分過ぎ。クラスの過半数以上の生徒が既に登校しており、和也もそのうちの一人で、彼は自分の席に座ってスマホをいじっていた。数人話をしている生徒はいたが、まだ入学二日目ということもあり、クラスの空気は少し重い雰囲気であった。
「おはよう涼介。お前が来るの待ってたぜ。」
「おはよう和也。電車の時刻は決まっているから、俺はこれからこの時間くらいに教室に着くことになるかな。」
和也の挨拶に涼介が返す。和也は瑠美も一緒に来たことはわかっているが、二人は顔を合わせるとお互いそっぽを向く。
予鈴が鳴るまで涼介は後ろに振り向いて和也と話をしながら時間をつぶす。
8時30分になり鐘が鳴って数分後に九条先生が「お前達おはよう」と挨拶をし、教壇に立つ。教室を見渡し、全員出席していることを確認すると、彼女はホームルームを始める。
「今日から時間割通り、授業が始まる。と言ってもどの授業も最初はオリエンテーションみたいな感じだろうから、本格的な授業は二回目以降となる。各教員の指示に従って予習・復習を怠るなよ。」
相変わらず黒のゴスロリ衣装をまとった九条先生は、背が小さいながらも威圧感を出して生徒に指示をする。生徒達は彼女の威圧に少し緊張しながらも、内容を忘れてしまわないよう彼女の話を聞く。
「それと、お前らの先輩が昼休みと放課後を通して中庭で部活動紹介、というか勧誘を今日から三日間行っている。気になる部活があれば行ってみろ。あいつら毎年馬鹿みたいに騒ぐから、部活に興味ない奴は巻き込まれてケガをしないように気を付けろよ。以上。」
九条先生は報告を済ませると授業の準備があるのだろうか、教室を去っていった。
一限開始時刻は8時50分。それまで数分時間が残っている。そのわずかな時間を利用して和也は涼介へ話しかける。
「なぁ涼介。お前は何か部活入ったりするのか?」
「それ、アタシも気になる!」
和也の質問に瑠美も加わってくる。
「俺は特に何かに入る気は無いかな。自慢じゃないが、運動も芸術もそれほど得意って訳ではないからね。二人は何か入るのか?」
今度は和也が質問し返す。それにまず和也が答える。
「俺も涼介と同じで部活には入る気ねぇかな。」
「涼介君はともかく、アンタは本当に取り柄が無さそうだしね~」
和也の回答にすかさず瑠美がツッコミを入れる。
「何を!?自分で言うのもなんだが、運動に関しては俺は何でもそつなくこなせるぞ!そういうお前は何か入んのかよ?」
和也はむきになって反論し、そして瑠美へ質問する。
「アタシ?アタシはバスケ部かな。小学校のクラブ入った時からずっとバスケ続けてるし。」
「瑠美はバスケやってるのか。確かに血の気の多い瑠美にバスケはお似合いかもな。」
「やめてよ涼介君!血の気が多いって、この馬鹿が勝手にアタシを怒らせて来るんだから。」
涼介はさりげなく瑠美をからかい、瑠美は少し狼狽しながらも和也を指さし、原因が和也であることを示す。それに和也は馬鹿ってなんだよ、と反応し、言い合いになりそうになったところで一限担当の教師が教室へ入ってきて、号令の指示を促し、授業が始まった。
***
ホームルームで九条先生が言った通り、昼休みまでの4つの授業は全てオリエンテーション(内容は授業の方針説明や教員自身の自己紹介)によって時間が割かれた。そしてあっという間に昼休みになったのである。
「涼介、飯食おうぜ。学食に行かないか?」
白雲高校には多くの生徒が存在するため、利益を生み出す要因の一つとして学食を設けている。メニューは定食から丼もの、麺類など意外と豊富に存在する。また、おにぎりやパン、菓子や飲み物を売っている購買も存在する。
「すまない、俺は弁当があるんだ。」
「そうなのか。じゃあ購買で昼飯買ってくるから、少し待っててくれないか?」
「ああ、わかった。急がなくていいぞ。」
「おう、んじゃ行ってくる!」
昼休みは授業と同じく50分設けられているため涼介は急がなくていいと言ったが、和也は走って教室を出て行った。
「瑠美は、どうするんだ?」
その様子を眺めてた瑠美に涼介は問いかける。
「アタシもお弁当なんだ。よかったら私も涼介君と一緒に食べていいかな?」
「ああ、もちろんだ。でも、和也とは喧嘩にならないようにな?」
「わかってるわよ。アイツが変なこと言わない限り、穏便に過ごすわよ。」
瑠美も一緒に食べることが決まり、二人で和也が帰ってくるのを話しながら待つ。すると、ある少女が二人へ寄ってきた。
「あっ、あのっ!私もその……お、おぉっ、お昼をご一緒してもよろしいでしょうかっ!」
その少女は言葉からもわかるよう明らかに緊張した様子で涼介たちに話しかけてきた。




