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完全無欠の青春傍観者  作者: 十六夜烈也
第一章 一年一学期編
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第四十八話 見せつけられる事実

金曜日からテスト返却が始まり、土日を挟んで月曜日になりまだ返却されていない残りの科目の答案用紙が返却される。

水曜日には全クラスで答案返却が終了した。

水曜日の放課後、涼介は部活が休みで和也も用事があると先に帰ったので久々に一人で帰ろうと思い、下駄箱へ向かおうと廊下を歩いている途中であった。


「よぉ。答案は全て返却されたか?」

「ああ。鞄に全教科の答案が入っている。」

「じゃあ比べっこといこうか。ついて来い。」


涼介は藤堂に出くわし、空き教室へ誘導される。


藤堂が用意したのだろうか。机や椅子は後ろに集められているが教室の真ん中に机二つが合わさって揃えられていた。


「ここで答案を見せ合う。順番は試験日程と同じ順番で答案を出す。いいな?」

「わかった。」


二人は鞄からすべての科目の答案を取り出す。


「よし。じゃあまず数学Ⅰからだ。」


藤堂が合図をして同時に答案を出す。



金曜、および月曜、火曜。

藤堂の元にも答案が返ってきた。

97点、91点、94点、96点……

全ての教科が90点台に乗っていた。


数学Ⅰの時間。


『やっぱ数学Ⅰは過去問以外の97点だったか。』

『クラスの最高点は藤堂の97点だ。』


教師が藤堂がクラス内一位と言うと藤堂のクラスメイト達は騒ぎ立てる。


『藤堂でも大学の過去問はむずかったかぁ。中には正解した生徒がいるらしいけどなぁ』


教師がぼそっと言うがクラスの生徒は藤堂の高得点に騒いでいて聞く耳を持たない。藤堂は周りから話しかけられていたが先生の小言はしっかり聞いていた。


(へぇ……そいつはまぁ数学が得意なんだろうな……)


他の教科でも先生によっては藤堂はクラス内一位と公表され、クラスメイトにお祭り騒ぎで褒められるが、決まってどの教師もその最中で『でも大学の入試問題を解いてる子もいた』と言う。藤堂に配慮し騒ぎに乗じて言っているのだろう。クラスの連中は聞いていなかったが、藤堂は聞き逃していなかった。だが、各教科それぞれに特化した奴が解いたのだろうと聞き流す。全教科の平均が90点強である自分がクラス内でも、学年でも一位であると確信しているのである。

だが、その確信は過信へと変わる。


藤堂は机の上にある二つの答案の点数を見る。片方は97点。もう片方は……


「なっ!?ひゃっ、100点だと?!」


藤堂は目を見開いて涼介の答案を見る。何度見ても、目を凝らしても紛れもなく100点満点の答案であった。


「どうした?次の教科の答案を出せ。」

「わっ、わかってる!」


次は現代文。

漢字の問題以外は対策がしにくい科目である。白雲高校の現代文教師が作った問題は記述問題が多く、平均点が他の教科に比べ大きく下がっており、半分の50点を下回り平均点は48点になっていた。

その中でも藤堂は91点と高得点をたたき出しており、教師も絶賛していた。


二人は次に、現代文の答案用紙を同時に出す。

藤堂は91点と数学に比べ6点低くなっているが、涼介は変わらず100点の答案だった。


「はっ!?現代文も100点だと!?平均点48点だぞ!?」

「らしいな。お前も91点と頑張っているじゃないか?」

「100点と91点じゃ訳が違うだろ!?」

「次いくぞ。早く帰りたい」


次も、その次も、藤堂は二桁の点数だったが涼介は三桁の点数が続いていく。

藤堂は焦り始めて、いや、涼介の数学Ⅰの答案を見た時点で焦っていた。教師の言葉を思い出す。


『そういえば、他のクラスで入試問題解けた奴がいるらしいぞ』

『他のクラスで、大学入試の問題にも関わらず解いた子がいるの!』

『他のクラスに難関大の入試問題っつーのに、解いた奴がいたなぁ』


(他のクラスの奴ってまさか……!)


藤堂は涼介の答案から、涼介自身に目を移りかえる。


(全部矢野涼介(コイツ)か……!?)


10科目全ての教科の点数の見せ合いが終わる。

涼介は自分の答案をまとめ、鞄へしまう。


「それじゃあ先に帰る。」


涼介は藤堂を後にし歩き始めるが呼び止められる。


「待て!」

「何だ?」


藤堂は顔に汗を垂らしながら必死に話す。


「つっ、次だ!次の期末も俺と勝負しろ!次は……」

「何言ってるんだ?次も何も、お前は今日この瞬間から俺に話しかけないという盟約を結んだだろ?」

「っ……!」


藤堂は返す言葉が無かった。藤堂は固まったまま口も動かなかったため、涼介は教室を出ようとする。


「おいっ、話はまだ……」


涼介は返事をしなかった。が、振り向いて藤堂を鋭い目で睨みつけ、圧で威嚇した。それに藤堂は怯み、再び動けなくなった。

涼介が出て行った代わりに一人の人物が教室へ入ってくる。


「っ……!会長……!」

「藤堂君……。あなたは……」

「力及ばずすみませんでした!」


藤堂は答案をそろえず、無理矢理鞄に詰めて教室から走り去っていく。


「あなたは知らなかった。彼が完全無欠の……」

(なんだあいつは!?難関大の入試問題が入っているのにオール100点だと!?そんなの、そんなの……!)


「『化け物』だということを」

(『化け物』じゃねえか!!!)

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