第三十一話 部活動・人生ゲームーその6-
今回は2ターン分書くと結構長くなってしまうので、1ターン分書いてます。
内容は今までより結構濃いと思います。
よろしくお願いします。
ターン8終了時点
和也
職業:スポーツ選手
所持金:5万5000ドル
家:一軒家(4万ドル)
九条先生
職業:教師
所持金:4万1000ドル
家:マンション(2万ドル)
備考:お宝(アルビノ昆虫:2万5000ドル)
神野先輩
職業:パティシエ
所持金:4万9000ドル
家:一軒家(2万5000ドル)
涼介
職業:医者
所持金:4万9000ドル
家:一軒家(5万ドル)
備考:子供一人・お宝(宝石:3万ドル)
全員共通:生命保険
先頭順:先輩→先生→涼介→和也
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ターン9
「おっしゃ俺の番だぜ!」
和也は前回のターン休みだったため、ようやく自分の番が来て意気込んでいる。
「一ターン休むだけでも、人のプレイ見てるとめちゃくちゃ長く感じたわ。それじゃあ回すぜ!」
和也の気合に微妙に同調するかのように針は6という少し大きな数字を指した。6マス進むと先生の車があった。マスが少し小さいため、和也の車を置くと少し先生の駒とぶつかった。
「6マスか……おっと、先生のいるマスに着いたってことは、俺も5000ドルもらえるのか!?」
「いや山本。お前は逆に金を失う。」
「えっ」
和也は左隣に座る先生の顔を見る。すると先生は笑みを浮かべながらも背後からマグマのようなオーラを出していた。
「よくも私の愛車に追突してくれたな?」
「いやっ、マスが少し小さいんで……」
「んっ、貴様知らんのか?追突ルールを」
「「追突ルール?」」
先生が「追突ルール」という単語を言うと、知らなかった和也ともう一人、神野先輩が単語を疑問形でオウム返しする。言わなかった涼介は無論、そのルールを知っていた。
「追突ルールってのはな、後ろから進んできた者が前にいる者と同じマスで止まると、接触事故という判定になりぶつかってきた者が相手に賠償金を払うんだ。ほれ、これを見ろ。」
先生は人生ゲームの説明書を二人に見せた。そこには追突ルールの記載があった。
『「追突ルール」 プレイヤー同士が同じマスに止まる(接触)場合は、後ろから来たプレイヤーがルーレットで出した数×1000ドルを賠償金として相手プレイヤーに支払う。追いついたプレイヤーにそのマスのイベントは起きない。なお、接触した側のプレイヤーが自動車保険に加入しているとこのイベントは発生しない。』
「うわっ、まじかよ!?」
「確かに書いてありますね……」
「わかったらルーレットを回せ。そして金を私に支払え」
さっきまでと打って変わって、和也は控えめにルーレットを回した。そして止まった数字は……
「はっ!?えっ!?嘘だろ!!!」
「10ですね……」
「10だな……」
「よっしゃぁ!1万ドルだな!」
「冗談キツイっすよ先生……」
和也が1万ドル手に取ると先生が自ら受け取りに手を伸ばし、ヒュッとお金が移動する。「あっ!」ととられたお金に和也は手で追いかけるが、先生は「サンキュー♪」と言ってお金をしまった。
「うっし、私の番だな!」
先生の追い風はまだまだ止まらない。ここで最大の数字、10が出る。
「とりあえずキャンプ場は終わりか」
2マス進んでキャンプ場を抜け出す。すると3マス目は給料日マスであったため、先生は自分の職業の給料分、お金を取る。今回の給料日マスはこれだけではなかった。
『……5000ドル支払うことで火災保険に加入できる。』
「火災保険か……。まぁ手持ちは潤い始めたから加入するか。」
先生は5000ドル支払った。三人は今回の給料日は火災保険に入る機会があることを把握した。
先生はそこから残り7マス移動する。
『タレントになる。給料はルーレットで出た数×5000ドルとなる。気に入れば転職し、次の給料日マスへ進む。』
先生が辿り着いたエリアは転職チャンスのあるエリアだった。給料が上がるようであれば転職でき、マスの示す職業と自分の職業が一致すれば職業をグレードアップできる。
「来たなタレント!私はもちろんジョブチェンジするぞ!」
「タレントか……」
「タレントって、どうなんだ?」
涼介が「タレント」とつぶやくと、和也がタレントの特徴を聞いてきた。
「ルーレットによってもらう給料が変わるギャンブルのような職業だが、このゲームで理論上最も高い給料をもらうことができる」
「まっ、まじかよ……」
「やはり矢野は知っていたか」
「はい。しかし大きい数字が毎回出る訳が……」
涼介が話している途中に「ふっ」と先生は笑い、割って入る。そして悪戯な悪魔のような顔をして言う。
「このマスの効果はこれだけじゃない。給料日まで進む。今からお前に可能性というモノを見せてやろう」
「っ!」
先生は再びルーレットを回す。
(10を出す気か?だが先生はさっき10を出したばかりだ。二連続出すとなると1%の確立しかない。8~10を大きい数字と考えても3割しかない。そう都合よく出る訳が……)
しかし涼介の考えに反して先生が引いた数字は……
「10!ですね!」
数字を言ったのは神野先輩だった。涼介と和也は驚いており言葉を発していない。しかし二人が驚いた点は違った。涼介は確率の面で驚いたが、和也は先生が10を出して5万ドルを引いたということに驚いていた。
「見たか矢野?これが可能性だ。おもしろいだろ?」
してやったりの得意顔で先生は涼介を見る。
「つまらないですね。ただの理不尽です。」
「お前にはこのロマンが分からんか……。っていうか、医者も十分チートだろ?」
確かに医者の給料は4万5000ドルと馬鹿げている。給料日で毎回この額をもらうのは強い、いや強過ぎる。
先生は強運で手に入れた5万ドルを嬉しそうに手持ちに加える。
「さっ。いいぞ神野」
「はい!私も頑張ります!」
神野先輩は遊園地の最終マスにいるため確実に抜け出すことができる。気楽にルーレットを回し、3が出る。一マス進むと給料日があるので、給料の額を先生に言い、受け取ってから先輩も火災保険に加入することを決めていたそうで、5000円を先生へ戻した。やり取りが終わると残り2マス、先輩は駒を進めた。
『男のが生まれる。お祝いでみんなから2000ドルずつもらう。』
「ということでみなさん。申し訳ないのですが2000ドルずついただけますか?」
「はいっす!」
「はい」
「よかろう」
神野先輩はもちろん勝ちたいと思っている。そのためにお金がより多く必要だということも理解している。だが、彼女の性格上、他人からお金をもらうことで一位を狙うのは好まない。そのため先輩は申し訳なさそうに三人からお金を受け取る。受け取り終わると、子供を一人車に乗せ、先輩の番は終わった。
「俺の番になったので、始めます。」
たかがゲーム。先程までそう思っていたが、連続でお金を失うイベント、そして先生の強運。運によってここまで理不尽な事が怒ると思っていなかったため、涼介は少しの不愉快さを覚えていた。その影響で少し力が入ってルーレットを回す。が、シートにはめていたルーレット盤が回転に耐え切れず外れた。
「すみません、勢いよく回し過ぎました。」
「どうした?動揺でもしているのか?」
「いえ。ですがこのゲームの理不尽さに多少の不愉快さを感じています。」
涼介は顔に出しては無いが言葉はイラついている。それに気づいて九条先生は軽く笑う。
「まぁまぁ、ゲームなんだから……」
「えぇ。ゲームです。ですから……」
涼介はニヤッと笑って続きを話す。
「俺もその理不尽を利用することにしました。」
「ほう?」
涼介と先生の一対一のような空気が流れる。二人だけの対戦ではなく、四人での対戦だということを和也は涼介に伝える。
「おい、そう熱くなんなよ?」
「いや、別に熱中している訳じゃないんだ。今からやる理不尽さを楽しんでいるだけだ」
涼介はルーレット盤をはめ、再びルーレットを回す。涼介も10を出した。
まずは二マス進んで給料を回収。涼介の家は一番高額であるため、もちろん火災保険に加入し、先生に5000ドル渡す。そしてそこからさらに進み、先生より一マス多く進んで止まる。そのマスの内容とは……
『医者になる。給料は4万5000ドル。気に入れば転職し、次の給料日マスへ進む。』
「お前まさかっ……!」
「先生、これが理不尽ですよ」
先生はセリフを言ったまま口が開いている。
(こっ、こいつ!!マスの内容を把握して10を狙って出したのか!?ルーレットの回転具合で針がどこに止まるのか把握しているとでも言うのか!?しかし矢野の回し方はごく自然でズルなど見受けられなかった……。自然にルーレットを操る感覚をその手に身につけたのか?考えすぎだと思うが、もしそうならこいつ、本物の化け物だぞ……!)
「すっげー涼介!グレードアップできんじゃん!お前も(運を)持ってるんだな!」
「まぁたまたまだ。次はそう上手く行かんだろ。」
和也はあくまで運によって涼介がグレードアップに辿り着いたと思って、そのすごさに自分の事の様に舞い上がっている。涼介はたまたまで済ませようとする。
「おめでとうございます矢野君!医者から有名医師へグレードアップですよ!」
神野先輩はそう言って涼介に職業カード「有名医師」と書かれたカードをもらう。給料は6万ドルと書かれている。
「ありがとうございます。気を抜かないよう頑張ります」
職業をグレードアップした場合、給料日マスへは進まずそのマスで止まる。よって涼介のターンはここで終了である。
九条先生は開いていた口を閉じる。閉じて斜めに口角を上げる。
(ほんと、面白い奴だな、矢野涼介!)
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ターン9終了時点
和也
職業:スポーツ選手
所持金:4万3000ドル
家:一軒家(4万ドル)
九条先生
職業:教師→タレント
所持金:10万8000ドル
家:マンション(2万ドル)
備考:お宝(アルビノ昆虫:2万5000ドル)・火災保険
神野先輩
職業:パティシエ
所持金:6万9000ドル
家:一軒家(2万5000ドル)
備考:子供一人・火災保険
涼介
職業:医者→有名医師
所持金:8万7000ドル
家:一軒家(5万ドル)
備考:子供一人・お宝(宝石:3万ドル)・火災保険
全員共通:生命保険
先頭順:先生→涼介→先輩→和也
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涼介の才能?の片鱗が見えましたね。
次回もよろしくお願いします。




