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完全無欠の青春傍観者  作者: 十六夜烈也
第一章 一年一学期編
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第二十四話 生徒会長

新キャラの登場です。

サブタイトルを見てお分かりだと思いますが、生徒会長です。

よろしくお願いします。

午前中の授業も、クラスの生徒は昨日と同じく集中して受けていた。この集中力は毎日続くのだろうか、それとも日に日に切れていくのではないだろうか、と授業中涼介はクラスの様子を見ながら考えていた。するといつの間にか午前中の授業は終わり、昼休みになっていた。

涼介はいつもの様に四人組になって昼食をとる。全員が食べ終わった頃、昼休みはまだ20分ほど残っていた。四人が適当に雑談しながら残り時間を潰していると、教室の前扉がガラッと開く。

そこに現れたのは、銀髪の長い髪をなびかせ、片側に三つ編みをしている少女。身長は160センチを少し超えたあたりで他の女生徒より少し高く、加えてスタイルが良い。黒の二―ソックスが彼女の脚の綺麗さをより一層引き立てている。

涼介を含め、誰もがこの少女を知っている。それもそのはず、彼女の名は黒羽 朱莉(くろばね あかり)、この白雲高校の現生徒会長である。見た目の美人さに加え、凛々しいオーラを放っているため男女問わず彼女のファンは多い。

黒羽会長が現れたことで教室内がざわついているが、彼女が口を開くとすぐに静まった。


「失礼。ここに矢野涼介君って子はいるかしら?」


クラス全員、涼介の座っている席を見る。窓側の後ろの隅。黒羽会長とは斜め対称の位置である。生徒の寄せる視線を辿って、涼介の座る席へ近づく。


「あなたが矢野君かしら?」

「あっ、いえ。俺はその友人でして……。涼介は……」


声をかけられたのは和也であった。一番後ろの席に座っているため、目星を付けられたのだろう。ばつが悪そうにして和也は涼介の方へ目を向ける。


「俺が矢野です。何か御用でしょうか?黒羽会長。」

「ちょっとついて来てくれるかしら?話があるの。」


新たな面倒事の予感に涼介は顔には出さないが面倒くさく思う。


「わかりました。すまないみんな、少し抜けてくる。」

「おっ、おう……」

「では行きましょうか?」


黒羽がくるんと振り返る。美しくケアされたその長い銀髪に誰もが見惚れる。彼女が歩き始めてから涼介は少し距離をとりながら後ろをついて行く。教室を出ようと出会の前に行くと、廊下で一人の女子生徒が「やっほー」手を振っていた。涼介には見覚えのある生徒だった。


「こんにちは、白露副会長。お久しぶりです。」

「お久しぶり矢野君。入学式以来だね~」


彼女の名は白露穂乃香。入学式の日、涼介は掲示板のクラス表を見ようとしたが、あまりの人の多さに一時断念し、ほとぼりが冷めるまで敷地内を散歩していた時に生徒会副会長である彼女と知り合った。知り合ったと言っても挨拶を交わしただけであるが。

クールビューティーな生徒会長と、誰とでも親しげに話をする人当たりの良さで人気のある副会長。そんな彼女たちがこの白雲高校の生徒代表なのである。


「では行きましょうか」


そう言って黒羽が向かった場所は生徒会室。生徒会の二人に呼び出されたため、もしかしてと涼介は思ったが、案の定生徒会室へ連れてこられた。


「じゃあ入って」

「失礼します」


黒羽は入り口と向かい合う席に座り、白露も空いている席に座る。黒羽に「座って」と言われるが、長話をしたくないため入り口前に涼介は立って「いえ、自分はここで。」と断ると黒羽は「そう」と一声かけて話を始める。


「では本題に入るわ。矢野君、生徒会に入ってくれないかしら?」


涼介はここまでの流れをある程度予想していた。新学期早々、何も不祥事を起こしていない彼が生徒会の人たちに呼び出されるのは勧誘か何かであろうと。生徒会室に着くまでの間に、涼介はこうなった場合の対処法をあらかじめ考えていた。


「いえ。すみませんが、お断りさせていただきます。」

「どうしてかしら?」

「疑問に疑問で返すのは失礼かと存じますが、聞かせていただきます。なぜ俺を選んだんですか?入学式で新入生代表挨拶をしていた一年席次一位である生徒が適任だと思われますが。」


新入生代表挨拶に選ばれる生徒は、入試合格者の中のトップが選ばれる。その事実は涼介だけでなく全校生徒が知っている。


「もちろん既にその子には声をかけていて、了解の返事をもらっているわ。でも一年の枠があと一枠空いているの。そこであなたを誘うことにしたの。」

「ですが、俺よりも優秀な生徒がいるはずです。俺は模試の順位は一桁ではありませんし、体力測定も人並みでしたから。」

「そのことなんだけど、九条先生からお話を伺った、と言ったらどう?」

「っ……?」


涼介の眉がピクリと動く。


『学校生活のことならどの生徒よりも目を見張って指導してやろう?可愛い弟弟子、だからな?』


涼介は昨日の九条先生との会話を思い出す。


(あの人、こんな所まで手回しするとはな……)


沈黙が続く涼介に黒羽はさらなる追い打ちをかける。


「模試や体力テストの件だけでなくて、入試の件も調べさせてもらったわ。毎年、入試の最低合格ラインは7割5分。8割取れれば確実に合格するわ。そしてあなたの点数は……」

「その8割だったと?」

「えぇその通りよ。主席合格すれば代表挨拶をしなければならない。そうなると目立ってしまう。それを避けるために、あなたは答えを知った上で得点を調整したのでしょ?」


涼介の表情は少し恐ろしい顔つきになる。


「会長は、俺のことをどこまで知っているんですか?」

「今話した通り、あなたが高性能(ハイスペック)っていうことだけよ。経歴とかは知らないわ。それにね矢野君。生徒会に勧誘する理由はね、あなたが優秀だからってだけじゃないの。」

「と言いますと?」


会長は瞑った目をカッと開き、涼介を睨みつけて答える。


「学校側も把握しきれてない得体の知れぬあなたを生徒会で監視(コントロール)したいの。」

「俺を魔物か怪物みたいに言わないでください……」

「ある意味そうじゃない?あなたがその気になれば学校の環境を思い通りに動かすことができるでしょ?」


その問いかけに涼介は返事、というか否定をしなかった。つまり涼介は暗躍して環境を動かすことができるのである。


「で、もう一度聞くわ。矢野君、生徒会に入りなさい。」


先程までの暗い顔から一変して、愛想笑いの軽い笑顔に変わる。


「では俺ももう一度。それはお断りします。貴方方に飼われたくありませんし、それに部活もあって忙しいですから。では。」


そう言って涼介は退出しようとドアを開ける。涼介が教室へ帰ろうとするので黒羽は慌てて立ち上がり、待ってと言わんばかりに右手を開き手を伸ばす。


「待っ、待ちなさい!話はまだ……!」

「心配しないでください。俺は自棄を起こしたりしませんから。迷惑をかけないよう、穏便に過ごすつもりですから。では、失礼します。」


涼介が会話を終わらせると同時に扉を閉める。

黒羽は手を伸ばして口を開いたまま唖然としており、白露は残念そうな表情をしながら扉の方を見ている。

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