第二十話 涼介の休日ー後編ー
今回は少し短くなってしまいましたが、よろしくお願いします。
道場の縁側で涼介は霧島と二人で朝食をとる。
「涼介もついに高校生かぁ。で、どこの高校に入ったんだ?」
「私立の白雲高校です。」
「白雲って名門じゃねぇか。……白雲?なぁ涼介、高校に九条って女性の先生いるか?」
「九条彩女先生……でよろしいでしょうか?その人は、俺のクラス担任ですけど?」
「あぁ、そうだ。九条アヤメちゃん。彼女、この道場出身だぜ?」
その事実に普段平静でいる涼介でもさすがに驚く。
「そうだったんですか?ということは、自分の姉弟子、になりますか?」
「そうだな。お前が道場入る前に霧島格闘術を会得して教師になりに出て行ったんだ。実は彼女、俺の友人の娘さんでな。体格差で馬鹿にされたくないっていうコンプレックスを克服するために、友人に頼まれて道場に入れてやったんだ。」
涼介はそう言えば、と思い出す。入学式の日、九条先生に無礼な呼び方をした和也がシゴかれていたことを。和也の身長は180センチほど。対して九条先生は150センチあるかないか程。この30センチ以上の体格差、さらに和也は鍛えているというのに九条先生に呼ばれた後、和也は怯えて教室に戻ってきた。先生がこの道場出身で本当に強いことを涼介は納得する。
「あと寺島っていう先生知ってるか?彼女もアヤメちゃんと同期の道場出身で、保健の先生やってるって聞いたんだが……?」
「面識はありませんが、名前は耳にしたことがあります。」
以前の体力測定の時、クラスメイトの男子が怪我をした。その生徒が絆創膏をもらいに保健室に行くと、とてつもなく美人でスタイルが良い先生が治療してくれた。その先生の名前は寺島先生だということをクラスで話し「明日の昼休みに見に行こうぜ!」と騒いでいたことを涼介は見ていた。
「アヤメちゃんもそうだが、彼女も中々の別嬪でな。ストーカーの被害によく遭うから護身用に、と習いに来たんだよ。まぁ軽く習うことのできる体術じゃないんだがな。」
「そうですね。姉弟子が二人も存在していたことは意外に思います。」
「この二人が道場に通ってる間、他を寄せ付けない程のライバル同士で、よく切磋琢磨し合ってたよ。気も合ってたか仲は良かったぜ。」
「では今度登校した時、二人に弟弟子として挨拶に行ってみます。」
「そうか。じゃあ俺からもよろしく伝えといてくれ。」
「わかりました。」
朝食をとり終わり、食べ物が消化するのを待ってから稽古を始める。昼まで続けると、また昼食休憩をとってから、夕方まで稽古は続く。涼介は土日を道場に通って過ごしているのである。夕方の5時に稽古は終了し、涼介はそこから走って自宅へ戻り、入浴を済ませてから夕食をとり、就寝までの空いた時間に勉強をする。道場はこの土日にしか通わないため、平日は勉強を進めながらもある程度自主トレをし、休日は道場に通うことで体を鍛えるということを習慣にしている。
こうして涼介の休日は終わり、翌週となって学校へ登校する。今からの一週間も涼介にとってはまた大きな出来事の連続となってしまうのを、彼は想像もしてなかった。




