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完全無欠の青春傍観者  作者: 十六夜烈也
第一章 一年一学期編
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第十八話 模擬試験ー後編ー

模試編後編です。

よろしくお願いします。

校舎内でチャイムが響く。

二、三年は通常通りの授業を行っているが一年は学力測定のため模試を行っている。白雲高校では毎年、新入生は入学の週の最終日には模試を受けることになっている。入試で計りきれなかった学力を模試で確認するという高校の方針である。

そして今、今年度の新入生達もその伝統に則って模試を受けている。

タイムテーブルは以下の様になっている。


一限目 英語

開始五分後に30分間のリスニング音声を流す。

制限時間はリスニングの30分を合わせた90分。


二限目 数学

制限時間は100分。


昼食休憩

試験時間は授業時間と異なるため、小休憩は15分間、昼食休憩は60分間となっている。


三限目 国語

制限時間は100分。


四限目 理科

高校では化学、物理、生物、地学をそれぞれ単体科目として学習するが、中学では総合して理科の科目として学習するため、今回の模試も4つの科目の融合問題となっている。

制限時間は60分。


五限目 社会

地理、歴史、公民の融合問題。

制限時間は60分。


入試では一科目50分の制限時間で試験を行っていたため、ついこの間まで中学生だった彼らには60分はまだしも、100分などという長さを体験する機会は無かっただろう。よってこの模試の受験時間はとてつもなく長く感じることとなる。時間配分や集中力などの要素も学校側は確認する意を示しているのかもしれない。


小休憩は「難しかった」「簡単だった」という会話は無く、誰もが無言で机に突っ伏していた。制限時間内に問題を解き終わったとしても、100分をじっと座って耐え抜かなければならないため精神が疲弊する。加えて前日の体力測定によって身体も疲れている。休憩になれば自然と楽な体勢をとるようになる。クラス全員は今、心身共に疲弊しているのである。


精神ではなく身体の方だけ鍛えている和也は肉体面では疲弊はなくとも苦手な勉強を長時間行うとなると、精神は参ってしまう。そのため机に倒れる生徒の一員となっている。


では心身どちらとも鍛え上げ、今日の模試を難なく乗り越えることのできる生徒はどういう反応を示しているのだろうか。答えはシンプルで、通常日と変わらず姿勢を正して席に着いているのである。現に涼介は表情を変えず、クラスメイトの様子を把握しながら、ただ一人おとなしく着席している。

平地に一本の木が立っているようなクラスの光景を、試験監督である担任の九条先生は眺めていた。



***



五限目の終了と同時に、模試の終了を知らせるチャイムが鳴る。

その音を聞くと生徒たちは「うわぁー」と声を漏らす。

この濃密な一週間を過ごし終えた生徒たちに九条先生は労いの言葉をかける。


「ご苦労だったお前達。受験以来の疲れ、もしかするとその時以上の疲労を今お前たちは感じているだろう。明日から休日だ。しっかり休んでまた来週登校しろ。では以上、解散」


そう言い残すと回収した生徒たちの解答用紙を持って、先生は教室から立ち去る。


下校時になり生徒たちは友人と合流し帰り始める。青山も涼介たちと一緒に下校するため、三人の席の元へ行く。四人集まってまず最初に口を開いたのは和也だった。


「だーっ!疲れたー!やっと終わったな模試!なぁ涼介、この後暇だったらカフェにでも行って休憩しないか?」

「疲れたし、いいかもしれないな。瑠美たちはどうする?」

「アタシも時間あるから行くことにするよ。ヒカリは?」

「じゃあ私も行こうかな。今からすぐ歩いて帰る体力無いし……」


こうして和也の提案により、四人はカフェへ行くこととなった。

駅の近くが繁華街となっているため、そこを目指す。人混みの中を自転車を押しながら歩くのは面倒であり、道幅をとって少し迷惑になってしまうかもしれないため、和也は駅の駐輪場に自転車を置いて涼介たちと歩く。

外観が綺麗で、中もそこそこ広そうな店を見つけて一同は入店する。

男女で向かい合うように座り、注文内容は男子二人はコーヒー、瑠美はアイスティー、青山は紅茶を注文した。飲み物を飲みながら会話を始める。


「ヒカリちゃんと涼介の言葉で朝は頑張ろうって思ったものの、やっぱり俺は模試に玉砕されちまったぜ。」

「アタシも、勉強に苦手意識は無いって言ったけど、今回の模試で少し嫌になったわ。」

「ほんと疲れちゃったよね。私も解けない問題があるとついテンパっちゃって……。矢野君は?」

「俺もみんなと同じ感じだ。この通り疲れたよ。」


涼介は参ったような顔をしてみんなに答える。しかしどうだろうか。三人はソファーや椅子に背をもたれて座っているのに対し、涼介は教室の時と同様に背筋を伸ばして椅子にもたれずに座っている。その様子を三人が気づく由は無いのであった。


そこから四人は様々なことを話し始める。今日の模試の問題の感想はもちろん、入学式以降の出来事を振り返る。とても濃密で、長いような短いような不思議な一週間だったと。

小一時間程カフェで過ごすと、和也の「そろそろ帰るか」という言葉で四人は席を立ち、会計を済ませて店を出る。駅へ着くと改札口で電車組と自転車の和也は分かれ、それぞれ自分の家へ帰宅する。

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