第十三話 体力測定ーその2-
今日一日だけではあるが、男子代表の市原が女子と反対の教室の隅で「男子のみんな集まってくれ!」と集合をかける。彼はこの日までにクラス全員と少なからず会話をし、彼が好青年である印象を涼介含め皆持っているため、そのおかげで彼の指示に男子生徒は集まる。涼介も和也に「行こうぜ」と誘われ市原の元に集まる。
「よし、みんな集まったね?それじゃあ僕が代表してみんなを誘導しようと思う。いいかな?」
進学校であるからか。白雲高校、いや、少なくともこのクラスには素行の悪い生徒はいなかった。そのため、彼の提案にみんな賛同する。微妙な距離感がまだあった7組男子は、今日をきっかけに市原がまとめたおかげでその距離をさらに縮めることができた。
こうして市原の指示の基、涼介たちは体力測定を始めるのであった。
体力測定の種目は9種類存在する。握力測定、上体起こし、長座体前屈、反復横跳び、1500メートル走、20メートルシャトルラン、50メートル走、立ち幅跳び、ソフトボール投げ。
体育館内でやるのは握力測定、上体起こし、長座体前屈、反復横跳び、シャトルラン、の5種目である。ちなみに立ち幅跳びは体育館でもできるが、外の幅跳び用の砂場で測定することもできる。
市原は、持久力を試す1500メートル走とシャトルランは午前と午後で分けるよう計画し、それらを軸に午前と午後でやる種目を決めた。
午前中は体育館内の種目、午後は仮に午前中にできなかった種目と、外で計測する種目を周ると決めた。
市原を先頭にクラスの男子はついて行き、後ろの方で涼介と和也は歩く。多くの男子生徒が市原に話しかけ、彼の出身中学や入部する部活、趣味や勉強のことを聞いていた。
「一回のきっかけであんなに人望出るなんて、すんげぇやつだな?」
「そうだな。この数日、市原はクラス全員に挨拶に周っていたからな。あの爽やかな笑顔で話しかけられると、好印象を持たない奴なんていないだろう。」
和也は頭の後ろに両手を添えて市原を見ながら退屈そうに歩き、彼の様子を見て思ったことを言う。彼の人望の根拠を涼介は話す。
体育館に着くとそこまで多いという訳ではないが、既にいくつかのクラス分生徒が集まっていた。市原は体育館内を見渡し、上体起こしが空いていたため、そこへクラスの男子を誘導する。
担当する教員へよろしくお願いしますと一礼し、番号順に二人一組を組む。6組は男女ともに偶数人存在するため、二人一組を組んでも余る生徒は出ない。番号順に組むため、涼介のペアは和也となる。
ペアの出席番号が若い方から測定を行う。そのため、涼介が先に測定するため、和也が涼介の足を固定する。軽くウォーミングアップをとり、教員が「位置について」と言うと全員背中を地面につける。「よーいドン」の合図で一斉に腹筋を始める。ペアの相方は「1、2、3、……」とカウントをとる。タイムアップが来ると教員が笛を吹き「辞めー」と指示を出す。
短時間に一気に力を入れたため、7組の男子たちは「はぁ、はぁ」と疲れている。しかし涼介は息を乱さず、顔色も変わらずいた。
「お疲れ涼介!」
そう言うと和也は涼介に記録を伝える。
「まだイケたんじゃないのか?」
「まぁ、こんなもんだろう。まだ俺は高1だ。」
「それもそうだな。んじゃ次俺の番な~」
今度は涼介が和也の足を固定する。和也もウォーミングアップをとるが、腹筋のスピードは他の生徒より断然速かった。そして先程のように教員が合図をとり、測定を始める。
「ふぅ~。中学時代よりか、結構できたんじゃないか?」
「あぁ。和也は全国平均の回数を大きく上回ってる。大した腹筋だな」
「毎日やってるからな!これで記録伸びてなかったら泣くわ」
体力測定の記録用紙は、表が自身の記録の記入欄、裏が各種目の点数表と昨年度全国平均が記載されている。よって生徒たちは平均を目途にすることができる。
上体起こしの測定を終えると、他の種目が空き、8組男子たちはそこへ向かう。いい感じに体育館内で種目のローテーションが他のクラスと成立しているのである。
こうして順調に測定は進み、市原の計画通り、午前中で体育館内の種目と加えて立ち幅跳びを計測し終えた。




