第一話 入学式
初めまして。十六夜烈也と申します。
今作を機に書き手側になってみました。
未熟な故、表現方法や文章に欠落が生じると思いますが温かい目で見守ってくださると幸せです。
それでは、よろしくお願いします。
少し風が肌寒くはあるが、満開の桜により花吹雪が吹いており、それは紛れもなく春の訪れを実感させた。
ここ、私立白雲高校には校門前の桜並木坂から入学式に参加すべく多くの生徒が上って来ていた。
「受験で一度来たことあるが、さほど急ではない坂がこんなに絶景になるとはなぁ。冬の寂しさとは大違いだな。」
そう呟いたのは矢野 涼介。彼も新入生のうちの一人であった。
「新入生の皆さん、入学おめでとうございまーす。校内マップを配布しておりますので受け取って中へお進みくださーい。」
在校生の生徒たちが校門前に立ち、ボランティアで校内の案内図を配っている。
白雲高校は中高一貫の高校ではないが、広大な土地を生かして多くの建物や広場を設けている。
故にこの学校が始めての生徒は必ずと言っていいほど迷子になってしまうため、そうならないよう校内マップを配っているのである。
涼介は校門に足を踏み入れ、入学式会場である体育館へと向かう。
体育館前の掲示板にクラス表が貼ってあるため、校門前より多くの生徒が集まっている。
そこは友人同士でクラスを確認する者や、クラス確認時点から友人関係を始める者たちで賑わっていた。
「参ったなこれは。少し早めに来たが、もうこの有様とはな。仕方ない、少し校内を散歩してみるか。」
あまりの人の多さに入る余地がないと考えた涼介は、持て余した時間を校内散歩に使うことにし、一時体育館から離れた。
校舎は一棟、二棟、三棟、部活棟、総合役職棟で構成されており、棟の間には少し大きい中庭が設けられている。他には各部活用のグラウンドが存在している。
「しかし本当に広いな。これだけ歩き回ってもマップ上によるとまだ回れてないエリアもあるなんてな。少し休むか。」
涼介は広場にある木陰付きのベンチへ腰を下ろす。
少し疲れ、軽くため息をついたところで誰かが近づいてくる。
「新入生の方ですか?式場である体育館はここから少し歩いたところにありますよ。」
黒髪の少しロングの髪形で、毛先は軽くカールしている。平均とは少し小さな身長だがスタイルが良く顔も整っている女生徒が涼介の目の前に立っていた。
涼介は腰を上げ返答をする。
「はい、新入生ではありますが、体育館前の人だかりにやられまして。式まで時間があったので校内を散歩し周り、こうして今休憩してた訳ですよ。」
「そうでしたか。時間があと十数分ありますけど、遅れないように注意してくださいね。それでは。」
そう言い放ち、女生徒は歩き始めたかと思ったら振り向いて止まった。
「申し遅れました。私は本校生徒会副会長の白露 穂乃香と申します。入学おめでとうございます。」
「自分は、矢野涼介と言います。よろしくお願いします。」
涼介も彼女の挨拶に返答し、白露は軽く微笑んでその場を去った。
少し休憩し、涼介は再び体育館へ向かい、掲示板で自分の組を把握し、体育館内へ入る。
クラスごとに椅子に座る場所は分けられているが、席までは決まっていない。
館内へ入った順に前の席へ詰めるよう、ボランティアの在校生が促す。
涼介もその指示に従い。席へ着く。そうして間もなく、入学式は始まった。
学校長挨拶や生徒会長挨拶、新入生代表挨拶、在校生による新入生歓迎のもてなしがなされ、小一時間程で入学式は終わった。
新入生達は体育館を出て、ホームルームのため自分たちの学び舎となる教室へと向かう。