アルバニア出発
AA基地に10:00の私と佐々木は定刻の五分前に着いていた。
夏目大佐も同じ様に五分前に着いていたが、我々には目もくれず資料を読んでいた。
仕方なく五分の間ではあるが、コーヒーを佐々木と飲みだらだらしていた。定刻の2分前にはコーヒーは捨てて、ブリーフィングの準備に向け意識を整えていた。
10:00だ。
2人とも揃っているね、それでは約2週間ほど前から潜入している中村、加藤グループの現地情報を説明する。
夏目大佐が定刻通りにブリーフィングについて切り出した。
中村、加藤両名による報告だと現地における虐殺及び、難民キャンプにおける暴動などを確認。特に、ジャーナリストにおける扱いが徹底しているようで、国境付近でカメラ一つ持っていよう物なら即射殺、運が良くて連行され処刑と言った類いだそうだ。
つまりは徹底的な、情報の封じ込め作戦を行うことが出来る集団がいる事が、予想できる。
彼ら曰く目下ジャーナリスト達は、出来る限り難民キャンプで情報を集めて、世界に向け発信しようとしているがなんらかの、電磁パルス兵器によりインターネットにアクセスできないとの事だった。
今回君たちには中村、加藤両名が築いたジャーナリスト達の活動を支援すること、そして引き継ぐ事にある。
夏目大佐はいった。
引き継ぐ?協力して行うのでは無いのですか?
佐々木が言った。
加藤は一昨日戦死した。詳しい情報はまだ分かっていない。故に中村救助も含めた作戦である。
夏目大佐は言った。
我々は言葉を失った。加藤はこの隊の中で唯一の家庭を持っている隊員だ。彼の帰りを待つ家族が、子供がいるのにも関わらず。
淡々と口にする夏目大佐の感情の無さに腹が煮え繰り返った、しかしこれはどうしようもない事であり、加藤が死んだのは間違いない事実である。
また、中村との通信はアルバニアのコルチャという街の北西15kmにビーコンがあり、加藤のビーコンもそこにあるとの事だった。
今回の任務は、現地民の信頼を得てジャーナリスト達が撮影したモノをギリシャまで持っていく事。
中村をランデブーポイントまで援護する事になる。
私達は輸送機に乗った。48時間以内にギリシャの国境付近へ到着する予定だ。
それまでの間、私と佐々木は一言も喋る事なくただ持ってきた、ファーストストライクスとウイスキーを煽っていた。