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ムーンライトの剣~守りたいものがそこにある~  作者: 西銘勇河
三部一章 神の国編
54/55

魔女たちの講義

久しぶりの執筆です。

こんなご時世で体調をくずして、筆が止まったので。改めてミウちゃん達の世界観を読み返し、改めて勉強になるなーと。

体調に気をつけて不定期で書いていきます。

これからもミウ達の世界をどうぞ末長く





愛殺しの蛇を倒してからしばらく経った頃。

魔王城でうたた寝する天秤の女神ワワ・ジャッチの脳裏にある会話が入り交じる。


目覚めよ、ワワ・ジャッチ━━━━ 


起きるのです、天秤の女神・・・


「うにゃ?何、新しい目覚まし系~?」


天秤の女神ワワ・ジャッチが目を擦りながら応答するも回りには誰もいない。

あまたの声が頭に響くばかりである。


その中で特に一段と優しい女神のような美しい女性の声音がワワ・ジャッチを諭すような口調でゆっくり丁寧に話した。



いいですか、貴女はまだ。目覚めたばかりで右も左も分からないかもしれません。

ですが、貴女の身体には魔王拷問デーモン・ロードの痕がある。

それは魔王デンスによるものですね?

なので、魔王デンスに‘ある伝言’を伝えて欲しいと・・・・・・


人間国家が神の国『天』による会議サミット

で‘神の国に選出された’と魔王デンス・・・もしくは後々の神の国の選出主になるであろうムーン・ジャスティス・ミウにそうお伝え下さい


優しい女神のような声音が新卒丁寧に言い残すとあまたの声は消え失せ、代わりにワワ・ジャッチ

が「あいよー」と手を振り。二度寝に入ってから間もなく、千里眼探求ルツボを使った魔王デンスが入って来て、ワワ・ジャッチの眠りを阻止するのだった・・・・



場面は人間国家に移る。

愛殺しの蛇討伐という歴史的快挙を為して尚、人々は以外にも落ち着いていた。


長い計画と準備と避難勧告に加えて過去類を見ない天災の後処理で人々は疲れ、とてもお祭りどころではなかった。

けれども、目的を達成した充実感は確かにあるようで。皆、どこか安心していた。

そんな時だろう。


愛殺しの蛇という天災を乗り越え、ありふれた日常とのバランスを取り戻すかのように。

再び、天災がやって来る・・・・・



誰かが咳をした。

次に誰かが咳をした。すると、咳をした口元からトゲのようなチクチクした緑の球体━━━菌のような物体が人々の身体を指した。すると、菌はどんどん増えだしたかと思えば、眼球のような点が現れ、花弁を開き、地面に根を生やした。

経った数分の内に、得体の知れない植物が人間国家を埋め尽くした。



謎の植物が蔓延する前、魔王デンスより一本の伝達が届いた。

それが、神の国『天』より人間国家が神の国の一つに立候補されたという。

あまりに衝撃的な内容にミウや皆も驚いたが、納得のいくこともある。


まずは神々と親交を深め、味方に就いていること。

人間のみならず、多種多様な種族と繋がりがあること。

戦闘面や国としての力が強いこと。

そして、近日に至っては愛殺しの蛇討伐という歴史的快挙を為したことから人間国家が神の国と同等の位置付けになるのは分からないこともなかった。

けれども━━━━


「人間国家が人間国家でなくなるのではないか?」



下手をすれば、国が丸々飲み込まれかねことだが。

おそらく、これからも愛殺しの蛇クラスの天災に見舞われた時に無事に守れ切れるとは限らない。 

ならば、神の国に同盟して人間国家を守るのが定石。


それからミウ達は神の国『天』に行くための準備を始めた。


神の国『天』に行くにはどうするべきか?

神の国と言っても、地図に載っているわけでもないし、ましてや概念でもない。

確かに土地としての記録は詳細に残されている。

ならばとミウは魔教人童謡説を開いた。

するとどうだろう。

童謡説からは一筋の光が時の番人リークを指さし、続いてある一文が浮かび上がった。


  ‘魔女たちに杖の手解きを受けなさい’


少々、あっけらかんとしてしまった。

何故ならば━━━━━


「魔女たちって・・・確か、二十年前の人類の争いに巻き込まれて。殆どが魔女狩りの被害にあって亡くなっているか、共鳴魔法の影響で殆ど魔法が使えないはずだが・・・・」


ロックの疑問に皆も賛同する。

だが、ある一人の人物の意見は違っていた。

ミウの父にして東部隊副隊長のエターナル・ジャスティス・ミウが意を唱える。


「確かに、魔女たちには魔法は使えない。だが、杖にによる‘変換魔法’なら話は別だ」


「変換魔法?確か、それってミウさんのお父様やお義母様も使ってましたよね?直近だと炎将レイがよく煙草を吸う時に使っていたのを見てましたけど・・・・結局、どんな魔法なんですか?」



リンバラの受け答えにエターナルは悩みながらもどうにか伝わってくれと言いたげな顔で言葉を絞った。


「変換魔法は他の魔法と比べて扱うのが難しい。そこは上級魔法と変わらない。それにこの変換魔法には詠唱がいらない。それも大きな利点だ。だが、他の魔法と大きく違うのは‘月を想うこと’にある」



「月、ですか?」

今度はウルフが答える。

それにエターナルも反応して、説明を続けた。


「何故だか分からないが、変換魔法は月という特定のものを頭に思い浮かべることでより大きな力を発揮する。それが、そうだな。例えば、ミッツのオームを使った魔法や月将の幻術、俺がよく使う鎖の捕縛も変換魔法の影響を受けている。それは炎将レイの喫煙もその一つだ」


「そうだったのね、お義母様の魔法はいいとしてもパパや炎将レイの魔法には月が関連していないように思えるのだけど・・・・」



ミウが首をかしげるのに対して、今度はロックの剣となった炎将が剣の姿になったまま答えた。


『それはいつも、月を見上げながら吹かしていたからだよ。その方が美味しく吸えるからな』



「そうなのね、直接的に関わりがなくても見ているだけでも効果は発揮するのね?だとしたら、尚更。パパはどうやって変換魔法を使いこなしたの?」


「そ、それは・・・・」



娘の純粋な問いにどこか照れくさそうにする。

その顔を見て、ミウ以外の周りの者は何かを察したようで。リンバラはやけににやにやとしていた。


「我が大切なmoonを守らなければならないからな・・・・・」


「・・・・!!!?!?///」


ミウの本当の名である‘月’を守らなければならない。

それがどこか、恥ずかしくて死にそうになるミウだった。



早速ミウ達は魔女たちが暮らす村までやって来た。

村はじめじめとして汗が服にへばりつき、大地は枯れ。代わりにマンドラゴラや薬草、乾燥させた椎茸が干されていた。

魔女たちと言ってもごく少数で、年老いた魔女がやや多く若い魔女が幾分に目立った。

その中を行くミウ一行は村の奥にあるとんがり屋根の家を目指して、ドアノブを叩く。


「なんだい?」


年老いた女の声が響く。

それにミウ達は「村長のバーヤさんを尋ねに来た」と言うと年老いた女は「そうかい」とそっけなく返事をすると扉が勝手に開いたかと思えば、そこには背を丸くした黒い達磨のような老婆が薄気味悪く微笑み。


「ようこそ、我がバーヤの里へ」



バーヤが腰を下ろして、肘を痛める仕草をしたり。茶を汲んでもてなそうとしたり・・・・一連のやり取りを交えてミウ達は本題に入った。


「いきなり来て、難ですが。村の村長であるバーヤさんに是非とも変換魔法を教えて欲しいのです。むしがいい話なのは百も承知の上です・・・どうか」



「おあいにくだが、それは出来ない。何故なら私はもう魔法の第一線を離れた身じゃ。今さら教えることはない━━━━じゃが、若い魔女たちならそれが可能じゃ」



「・・・!!本当ですか?」




「ああ、村は若い魔女が少なくてのぅ。魔女の血も変換魔法を伝える機会もない。だが、その三つ子たちならよそ者にそれを教えることができる。何せ、彼女たちは優秀じゃからのぅ」


「そうですか、三つ子の魔女・・・・では彼女たちは今どこに?」



「ん?今じゃと向かいの広場で‘じゃれあっている‘頃じゃろう」



「じゃれ会う?」


その言葉にミウ達はどこか、嫌な予感を感じ取った。

そして、それは少なからずとも的中するとも知らずに・・・・・


断言しよう。

この三つ子の魔女たちは仲が悪い。

それは村長のバーヤから三つ子の魔女たちについて聞いた後にバーヤから言われた村の中央に広がる広場に足を運んだ時である。


「あれじゃないですか?」


とリンバラが指を指した時━━━━

大きな鉄の塊が頬を掠めた。

瞬間、辺りは砂ぼこりで蔓延となり思わず咳き込む。

嫌な予感を感じて前を向くと、そこには鏡を合わせたかのような瓜三つの少女たちが今にも殺しだしそうな剣幕で。

互いに杖を握っていた。


一人の少女はふわふわと鉄の塊や家具を浮かして、水色のメガネに緑の束ねた髪型で。


二人目の少女は地味の装いに頬にそばかすを着けている。一件、頼りなさそうに見えるが、彼女の周りを囲む空間は妙に歪で。大地に生えた植物を枯らしてしまう空気を操っている。



三人目は勝ち気誇ったような少女。

彼女はやたらと美意識が高いのか肌のケアや身なりを徹底的にこだわっている。

そんな彼女の魔法は花火、彼女の周りをまるで小鳥が飛ぶかのように舞い散り。とても美しい魔法だ。

だが、その魔法は美しいだけではなく。

彼女自身を不死にしてくれるのだ。

朝や光の当たる場所では彼女が例え死んでもすぐに蘇る・・・・だが、欠点としては暗い場所や夜には効果がないことだ。不死鳥のように蘇っても暗くては意味がない。


だから彼女は体内に光の小粒を入れたのだが、そこを撃ち抜かれたり。死んたあとに光の小粒をくり貫かれたら元もこもないけど・・・・



そんな険悪丸出しの魔女たちにミウは恐る恐る「あ、あの~・・・・」と声をかけた瞬間に三つ子は『ああん!?』と凄い剣幕で睨んできた。


内心、一瞬怯むもミウは改めて村のバーヤから紹介されてきた・・・と概ねの趣旨を伝えると━━━━



 『ようこそ、我がバーヤの村へ!!!』


先ほどの殺伐とした殺し合いから一転、突然の営業スマイルで歓迎されて困惑と動揺が隠せないミウ達だった。




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裏設定です。

バーヤの村まで行くのは実は難しいことです。

悪人よけの結界が張られていて、延々とたどり着けないからです。

仮に村に入れたとして、バーヤの家にあるドアノブ━━━━実は悪人や悪意ある者が触ると電流が流れ、爆発する仕掛けになっていたのです。

大抵はここで死にます。

ですが、希に生き残る悪人がいて。

瀕死の状態でバーヤ率いる恐ろしい魔女たちと三つ子たちを相手にしないといけません。



ミウ達がそうならなかったのは純粋な気持ちとバーヤの村に大きな利益を生む存在だったから・・・かもしれませんね。

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