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エピローグ ありがとう、涙。

朝が来て、目覚めの悪い伸びをしてから窓から差し込める朝日を見て寝ぼけ眼から一瞬にして東部隊隊長ムーン・ジャスティス・ミウが出来上がる。いつもの朝食、いつもの仕事に良き仲間たち・・・・・昨日までの激闘が嘘だったかのような平和ぷりで。少々違和感を覚えるくらいだ。

だが、ミウは実際に本物の平和を一時的とは言え、掴み取った。それだけでもミウは誇ってもよいだろう・・・・・・未だにミウの手元には明日の便箋師レトゥーが遺した遺品とも呼べる世界の産物、魔教人童謡説である。

レトゥーは魔教人童謡説の筆を折る型によって命と引き換えにミウを助けた。今思えば、水将スーが来る事がわかった途端にレトゥーも肌身離さず着いてきていた。それはその時の暗示だったかもしれない。それが怖くて今でも本のページがめくれずにいて・・・・・・

気がつけば、レトゥーと最後にあった場所まで来てしまった。何とも言えない消失感が悲しみと共に込みあげてきて・・・・・・

「泣いていいんじゃよ、ミウ」

「・・・・ミッツ、お母さん・・・?」

「主が心配で心配で来てしまった・・・・・ほれ、後ろを見るがいい。バカップルがこっちを見とるわい。さっさとミウを抱きしめればよいものの・・・・・・」

「クイニー母さん、パパ・・・・!」

「実はその童謡説をレトゥーに渡したのはわらわなんじゃよ。話せば永くなるが、もともとレトゥー自身もそう永くはなかったしとても危険な状態じゃった。だからこそ、己に死がなく新たなる未来の可能性を創って欲しかった。それが災いして世界の産物などと言われるようになったが・・・・それは間違いじゃ!童謡説いや、この日記にはレトゥーの全てがある。お主、ミウに対しての愛そのものが━━━━全て」

「・・・・・・分かった」

ミウは意を決したようにゆっくりと震えながらに本に触れた。すると。

「!!!!!!!!!」

そこにはミウの事だけ記されていたのだ。

始まりはレトゥーの多重人格への葛藤と克服、次に村を出てミッツのつてを辿りながら場所を転々として王都にある例の場所なる隠れ家を発見する。その時だ、夜空に輝く銀髪、スラリとした体躯に美貌━━━━━レトゥーは一瞬にしてミウの虜となった。

それからはミウのことで日記はいっぱいだった。ミウの悲しい過去や運命、立ち向かう姿勢に惹かれた仲間たち・・・・レトゥーの日記は常にてんやわんやと動き回って、レトゥーの中でも母親にも似た愛情がミウに注がれていき。昔の自分と木霊する。

守らなきゃ・・・・!それがミウと出会った最初のきっかけである。そう、レトゥー誰よりもミウの事を想っていた。それは親心としても家族愛だとしても恋人に向けるべきものだとしてもレトゥーならきっとこう締めくくることだろう。


    ━━━━━━‘愛あってこそだと’━━━━━━




「・・・・ぐっすっ、!?・・・・んん~!」

「何も言わなくてよい、ミウ」

『・・・・ミウ』

涙を堪えていたはずなのに、家族から優しい言葉をかけられ抱きしめられたら涙が止まらない。止まれ、止まれ!とミウが念じられるたびに口からは「ごめんね、ごめんね・・・・・」と虚しく声が擦れる。きっとこの先、ミウたちにも苦い経験は訪れるだろう。それでも彼女はムーン・ジャスティス・ミウはさらに強く成長した。涙を拭ってミウはある一つの決心をする。

「この本は今日から私が書く・・・・未来なんてたいそれた事は書けないけど。私は明日の幸せで埋まるくらいの魔教人童謡説を書きたい・・・・・!」


    だな


どこからか、そんな声がしないでもなく。青空はどこまでも青く輝いた。



              一巻 完 

              二巻の次へ続く




とりあえず、一巻分の内容はここまでです。

今までの良かったところや批評などがあればじゃんじゃんコメントお待ちしてます。

ありがとうございました!

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