西も謎を追う。
一方で、中世王都西側付近にある西部隊隊長ロック・サンダースは屈強な体から剣を終った。
先ほどから貴族や政府関係者を狙った犯行が相次いで、その後始末に追われていた。
「たく。大丈夫か?」
ロックは馬車の破片が腕に生々しく絡んだ被害者に中腰の体勢から伺うも、被害者の男は激痛のためかロックを視界の隅にすら入れていなかった。
なので。ロックは腰に隠していた短剣を蛇が踊るが如く腕に絡んだ破片を跡形も無く消し去り、続いてピンセットに似た銀の棒状のような物で細かく残った破片を角栓を抜くように━━━━━
「ぎゃあぁぁあ~!?あうえうえ・・・・・」
その声がロックの胸ぐらに響く。
処置を施すためとは言え、やはり。気持ちの良いものではない。けれどもこの処置をしないといけないことは変わらないし、そんな葛藤の末にロックは破片を全て抜き終えた。
後は消毒を施し、そして。
「絶対的な治癒・・・・・!」
瞬間、みるみる内に被害者の男の顔から安らぎを感じられた。
そしてそのまま催眠の副作用で眠りに落ちる。
「ふう。これで事故の被害者は全員か。おいお前ら、事故の報告は適当に済ませといてくれ」
『はっ。了解しました』
騎士団の二人は慣れた手つきでその場を去って行く。
だが報告には東付近でも似たような事件が多発してるとのこと。
普通に考えれば、王都とは別の外部の集団行為・・・・・・・のはずだが、どうもロックにはそうは思えない。
言うならば隠蔽や誘導に優れている者の犯行にしか思えないからで・・・・・・
チャリン
「んっ?」
瞬間、ロックは街角の細い道から視線と視線が交わった。
細い道の隙間から魔教人の修道服を着た‘天使の羽’を弄ぶ鈴の音色を鳴らした女がにっこりと笑って━━━━━━━━
「いや、まさか・・・・・」
ロックはそんな訳がないと頭を冷やそうとするも、やはり。
魔教人童謡説に唱えられたという魔女狩りの天使、イヴが舞い降りたなどと考えてしまったのは老いによる考えすぎかもしくは、
ロック自身が魔教人に犯されたのか?
とりあえずロックは‘例の場所’で夜を待つことにした。
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