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交差する思惑と憎悪

文字を書き続けて尚、魔教人童謡説の作者レトゥーはおもむろにミウへと首を傾げた。

色々と思うことはあるけれど。

まず、ミウは手順を追って問いかけた。

「レトゥーさんと仰いましたね?まずどうして私だけをここに呼んだですか?キー・ゴールドさんもいつもと違ってらしくない行動でしたし・・・・何より!何故、例の場所の真下にこのような場所が!?そして、レトゥーさん。あなたは何のために━━━━━魔教人童謡説を書いているのですか・・・・・」


「━━━生きるためです」

「え?」

「先程も言いましたが。私は今書いている本、魔教人童謡説を書き続けないと誓約として魂もろとも消滅するのです」

「ッ!?そ、それじゃ・・・・!!」

「だから。あなたを呼んだ。この答えは今は伏せておきますが、もともと私もごく普通の人間でした。ですが、何者かが私をこのようにした。姿は見ていません。全身が闇に隠され素顔は見れませんでしが━━━━━シルエットのラインはどう見ても長髪の女でそして。美しい星月夜が印象的だった・・・・・」

「・・・・」

(シルエット状の女性に星月夜・・・・・これ、

どこかで━━━━━)

「そして、もう一つの問いに答えましょう。

━━━━━━来たまえ」

レトゥーの言葉と共に突如、部屋に雷が走る。

その中央に雷の牢に捕縛された一匹のグレイが咆哮を挙げた。

「!?グレイ・・・・!!」

『いい気味だな。殺したはずの残党と対する無様な隊長さんよぉ!』

「ッ!」

ミウが素早く剣を取り出すと同時にレトゥーが手でミウを制した。

「ここは私に任せてください。最も、グレイを捕縛したのは私自身━━━その権能をお見せすると致しましょう」

レトゥーが指を弾いた瞬間、グレイを捕縛していた雷の牢が解除され。傷だらけだったグレイの身体は悪魔の回復能力によって嘘のように治癒された。

『グへへへへへへ!!?馬鹿め!?捕縛さえなければ━━━━━首だって、跳ねられるんだぜぇ?』

刹那。先程まで直立していたレトゥーの身体が床に落ちる。

血を吹き出して瞳の色が薄らぎ、グレイは腹を抱えて更に嗤いこけて。ミウが怒りに任せて保険的殺しスマイル・キルを発動しようとした直後━━━━

「何がそんなに可笑しいです?」

「!?」

『は?』

振り向くとそこには首を跳ねられたはずのレトゥーが澄ました顔で立っていた。思わずミウも先程レトゥーがやられた床を観て更に混乱した。首を跳ねられたレトゥーの死体はまだそこにあるのだ。だが、現に目の前にいるレトゥーも又本人・・・・・幻影や洗脳の類いではないとこれまでの戦いから垣間見える。

リアルな混乱、思考。血の匂いや空気がレトゥーの力の恐ろしさを証明した。

『ぐ、気持ち悪いんだよ!死ねッ!!』

「ふふ。心臓も同じですよ?」

『!?なら、殴り飛ばして!あっ!嗚呼!?おらぁぁ・・・』

「かなり、時間がかかりましたね。もう、限界ですか?」

『ざけんな!なら氷付けにして・・・・』

「まだ?」「渋い方、キライじゃありませんよ」「ふふ」

   「これで98回目ですね!すごーい」「顔が強ばっていますよ?」 



それからどれくらい時間が経ったのかミウにはもう分からなかった。レトゥーは変わらず、只同じ顔をした同一人物の死体の山がなければ。グレイももはや立つことさえままならない程、心身が疲弊して絶望の淵にいた。

『こ、殺して、くれ・・・・・』

「もう一度言ってくれます?」

「殺して、くれ・・・・」

「はい」

レトゥーが短く告げた瞬間、グレイの姿だけが消えた。

流石のミウも呆けた顔をしてしまう。だが、レトゥーはミウに気がつくと指を弾いた瞬間に死体の山が綺麗さっぱりいなくなってしまった。もはやどう反応したらいいのか分からない。

「ミウさんにはだいぶ混乱させてしまいましたが。これが私の権能の一つ。絶望不死です。相手が絶望するまで、死を望むまで私は不死を許される。ですが、この力も万能ではありません。相手が絶望するまでひたすら待たねばならないのです。そして私に一切の攻撃権はありません。破れば死あるのみ・・・・・勿論、魔教人童謡説を書き続けないといけないのも誓約の内、キー・ゴールドさんに例の場所の権利を一時的に渡したのもあなたに会うためなのですよ?ムーン・ジャスティス・ミウ。最期にあなたに会えて良かった━━━━━」

その瞬間、ミウの意識が途絶えた。



例の場所にて。魂を取り戻した元貴族のリークは一瞬、魔力のズレに首を傾げるもすぐさま儀式の準備に移った。

グランの話では時期に災厄が目を覚ますという。

月将ムクの協力も相まって予定より早くに儀式をするはめになった。だが、時期に世界は悪魔いや、わしの物となる。

何故って、そう。死又はX。災厄の権利をな・・・・・・



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