星の裏側にも愛がある?
「それって、どうしたらいいの?」
ミウの純粋な疑問にロックとエターナルが答える。
「簡単なことだ、ミウ。災厄は星月夜の美しい日に眠りに就くと魔教人童謡説に唱えられている・・・・そうだったね?ロックくん」
「ええ、その『違和感』を察知して。僕とリンバラは情報探しをしていて━━━━不幸か幸か、急に魔力の変換を感じたと思ったら先程のミウさん達みたく観光していたという訳です。それに━━━━」
「おかしいと思いませんか?何故、災厄は世界を掌握しないのか?魔教人童謡説はここまでの情報を持っているのか?何故、災厄は星月夜の時だけ眠りに就くのでしょうか。答えは簡単です。そう━━━━━」
未来から来たモノだったら?
「何もかも仕組まれていて。そうなる運命だったらなら・・・・とてもおかしな話をしている自覚はあります。でも、そうすると辻褄が合う気がするんです。例の場所や悪魔中層幹部グラン、グレイ達の奇襲。そして、この星月夜!もう気づいているはずです。月将ムクが現れる時期も災厄が現れる時期も同じで・・・・・どうしたらいいのか、怖くて怖くて・・・・・ッ!!」
「ミ、ミウさん、何で・・・・・その。抱きしめてくれんです?グッスゥ。うう~何か言って下さいよー」
「(大丈夫、大丈夫だからね。だから━━━)」
泣かないで
「うう~ああわん、ぐすっ。全くもう、ミウさんはズルいです。って!ロック隊長まで無言で頭撫でないで下さい!エッチ!セクハラで訴えますよー」
「悪い悪い。リンバラも色んな意味で女の子だなって」
「それ、どういう意味ですー」
遠くから三人のやり取りにしみじみと自分の心境と重ねるエターナル。
そこにはどこか少年期の頃を思い出して━━━━━「!!?」
一瞬、ほんの僅かな一瞬。月から魔力がこぼれだし。青空の光景を掠めたのだ。
災厄はまだしも、もしも正体すら現さない悪魔五天王の一人。月将ムクを倒すか捕縛に成功したならば大きな一歩である。
エターナルは剣を取り出し、皆を叱咤し始めた。
「皆、どうやら敵は高みの見物と云わんばかりに俺達を見下しているようだ」
「パパ、それって・・・・」
「嗚呼。月将は最初からこうなることを知ってたんだ。だからこそあの時、グレイからミウを守った時と同じ‘変換魔法’によるモノだ」
「へんかん、まほう?そんな魔法、聞いたことが・・・・・」
「・・・・・」
ミウの受け答えにエターナルは顔を背けたまま、再び強く剣を握った。あの時、クイニーを亡くして。あの時、禁句の魔法を唱えられてなければ。あの時━━━━━ミツは、どうして・・・・・・。
想いは重なり連なって。エターナルの剣が星の輝きをも遥かにしのぐ勢いで満月へと波動砲を撃った。
凄まじい爆音。周りの景色から徐々に夜という概念にひび割れが生じて満月に潜む月将すらも・・・・・
「!?」
瞬間、ひび割れた夜空があたかも自動的に修復するかのように。
ぐにゃりと再び美しい星月夜に戻され。代わりに満月が異常なほどに増えていた。
「変換魔法・・・・・やはり、お前が━━━━━」
「パパ・・・・・!!!」
「お父様、僕達も戦います!伊達に西部隊隊長やってません!」
「そうです。ミウさんのパパさんばかりに任せてられません。・・・・・少しくらい僕達を頼ってください」
「嗚呼、そうだな!月将様の顔を拝まない限り。町を皆を傷つけさせない・・・・!」
そしてエターナルは小さく息を整え。皆に指示を促した。
「リンバラちゃんはそのまま剣を構えて、皆の補助。ロックくんとミウは剣と杖を構えろ。相手が寝たくてしょうがいない駄々っ子なら、皆の光で起こしてやる!日はまだ、明けたばかりだーー!!!?」
━━━━!?ッッ
どこからか、そんな声がした。だが、ミウ達は賢明に剣と杖に光を灯していく。それはまるで人という生き物が赤子に返るかのような安らぎ。犯罪を犯す人々にも正気が芽生えだし、また一つまた一つと星々が消えていく。
皆の生きる姿勢こそが輝きの表徴、月将はついに星月夜の空間を保てずにそして━━━━━━━
バリンと最後の満月が割れると同時に黒いシルエット状の月将ムクがうめき散らしながら住宅街の屋根へと落ちた。
「・・・女?」
ロックやリンバラ達が月将ムクらしき者のシルエット。恐らく魔力を使ってシルエット状に正体を隠しているようだ。
だが、月将ムクはかなり消耗してるのか。ミウ達に気にもせず姿をくらましてしまった。
冷め上がる一同。その後、街の人々や拘束されていた天使達に怪我などなく。皆、夢心地だったと口を揃えて。
事件は難航している。
だが・・・・・ミウの父、エターナルはどこか腑に落ちなそうにもどこか納得の言った顔をしていた。
父さんの手には一本の赤い薔薇、ああ明日は母の日であって義母であるミツ・ジャスティス・ミウの誕生日だった。
次へ
もう・・・・2021年、何してたんだろ
いよいよミツも本格的に絡んできます。




