騒がしい初登校
「間に合うか、これ?」
俺はアルム学園に向けての通学路を全力疾走しながらそんな愚痴をこぼしていた。
なぜ、俺がこんなに急いでいるのかを説明すると、今日から俺は世界中のエリートが集うアルム学園に通うはずだった。
だが、その事をすっかり忘れていたためこんなに急いでいると言うわけだ。
「しょうがない、あれを使うか」
俺はそう言うと意識を集中させる。
そうすると、急に自分の体が軽くなったような感覚になる。
これは、俺が使える数少ない魔法の一つで自身の身体能力を底上げする「身体強化」と言う物だ。
俺は、10mほど上空に飛んで学園の位置を確認する。
学園の位置を確認した俺は、もう一度地面を蹴って近くの家に飛び乗る。
そんな感じで家の屋根を飛んで行く。
(この感覚にも慣れたな)
初めて「身体強化」を使った時はろくに制御もできなかった。
強化された力で家の扉壊しちゃったり、地面にデカイ穴作っちゃったり、、、etc
うん、考えてたらきりがないな!
そんな事を考えていたら周りの家が少なくなってきた。
アルム学園の周辺は魔法で被害が出ないように平地になっている。
平地になってからは全力疾走で学園に向かう。
俺は腕時計を見ると時間は8時20分だった。
(よし、間に合う!)
俺が校門をくぐろうとした時に、急に目の前に人が現れた。
俺は全力で速度を落とそうとしたが、努力虚しく俺はその人にぶつかってしまった。
「うーん、、、あれ、俺たしか、、」
俺は重い頭を上げながらそう呟く。
たしか、人にぶっかったはず、、
むにゅ
「うーん、、、」
俺の手に柔らかい感触がした後に可愛いらしい声が聞こえてきた。
え、、、この感触ってもしかして
「あれ?私たしか人にぶつかって、、」
「うわ!?ごめんなさい!」
俺は突然起きた人にびっくりして謝ってしまった。
「え?突然どうしました?」
え?、、この人に気づいてなかった?
よかったー!転校初日に学園で女の子の胸揉んだとかバレたらルエに殺される所だった。
「いや、何でもないんだ。ぶっかってごめんね」
「いえ、大丈夫です!」
この人いい人だな。
俺はその人の事をよく見る。
綺麗な銀髪に白い肌胸は大き過ぎず小さ過ぎず、そんな美少女がいた。
さすが、エリートが集まる学園。エリートは可愛いってアニメだけだと思ってた。
「あ!大丈夫ですか!?怪我してますけど!」
え、、俺は自分の体を見るが怪我なんてどこにもない。
「ふふ、顔ですから見つかりませんよ」
その人はそう言いながら俺の顔に手をかざす。
黄色い光が現れ痛みが引いていく。
これは光属性の初期魔法「ヒール」だ。
アニメでよく見るちょっとした傷を治す魔法だ。
「あ、ありがとう!」
あれ、そう言えば時間は、、
俺が腕時計をみると8時30になろうとしていた。
「やべぇー!?君職員室ってどこ!」
「え?第1校舎の1階ですけど、、、」
「ありがとう!」
俺はそう言い職員室まで全力で走った。
あの女の子はポカンとしていた。