いつもとは違う朝
「起きろ~」
そんな声が微かに聞こえてくる。
いつまでも居たいと感じるぐらい心地いい空間に一筋の光が差し込み徐々に意識が覚醒していく。
「あ、起きた!ご飯もうできてるよ!」
目を開けると、桃色の髪をツインテールにしてエプロンを着た少女が俺の顔を覗きこむ用に見ていた。
少女は俺が起きたのを確認すると、ニッコリと笑って朝食があるテーブルの方に歩いて行った。
俺、闇世凜人はまだ重たい瞼を擦りながら目の前の少女を見る。
少女の名前はルエ。
俺の育ての親であり、魔法に関しての師匠だ。
見た目は、少女だが年齢は不明。
100年以上生きる大魔術師と噂されている。
「どうしたの?速く食べないと遅刻するよ」
ルエはそう言いながら焼いたトーストにジャムを塗り始めた。
「遅刻って、なにも用事なんてないだろ?俺引きこもりなんだし」
そう、俺は引きこもりである。
二年ほど前にルエに引き取られてから、魔法関連で外に出ることは会ったがそれ以外は家でダラダラしていただけだった。
そんな俺に用事なんてあるはずがない!
「ん?忘れたの?凜人は今日からアルム学園に通うんだよ」
ルエは呑気にそう言いながら朝食のトーストを食べ始めた。
「え!?」
忘れてたぁーーーーーーーーーーーーー!
「なぁルエ!学園って何時までに行けばいいんだ?」
「たしか、8時半ぐらいだったかな?」
俺は、慌てて時計を見た。
時計の針はもうすぐ8時に差し掛かろうとしていた。
「やべぇー!急がないと!」
俺は直ぐ様朝食を食べ、洗面所に走った。
洗面所で直ぐに顔を洗い、家を出ようとした時にルエに呼び止められた。
「これがないと学園に入れないよ、それに魔装具忘れてどうするの!」
そう言いながら、アルム学園の学生証と魔装具を渡して来た。
「ありがと、じゃ行ってきます!」
ルエから、学生証と魔装具を受け取って家を出た。
いつもは感じない眩しさに目を細めながら、学園に向かって走り始めた。